2006年12月27日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ市内のメトロ(地下鉄)で爆破事件が発生した二日後に、今後はパウリスタ鉄道で同じく爆破事件が発生、警察は二つの事件に関連性があるとみて捜査している。メトロの事件では三人が硝煙で目や喉の痛みを訴えて病院に収容されたが、大事に至らなかった。
鉄道の事件では唯一の乗客である十六歳の少年が全身七〇%の重傷やけどで重体に陥っている。両方の事件とも犯人らの犯行声明もなく、捜査の手がかりとなる物件も現場に残されていない。このため警察では動機を計りかねているが、クリスマスを混乱に陥し入れるテロ行為の可能性が強いとみている。
そうなると大晦日から正月にかけての人出を狙って再発の危険があるとみて、警備員を倍増するなどして警戒に当っている。また市民にも注意を呼びかけ、不審な物を発見した場合はそばに近づかず、係員に通報するなどの協力を要請している。
パウリスタ鉄道での爆破事件は二十五日午前四時五十分ごろ、エンジェネイロ・カルドゾ駅構内で発生した。路線はジューリョ・プレステス・ターミナルからイタペビ間で、同駅は終点の一つ手前だった。爆発は最後尾の車両で発生、その直後火災となり車両は全焼した。唯一の乗客が十六歳の少年で、その車両で居眠りをしていた。爆音と火災で少年は窓から飛び降りたものの衣服に火がつき全身火だるまとなった。飛び降りて足もねんざした。少年は病院に収容されたが、七〇%重度三度のやけどで命が危ぶまれている。
これに先立つ二十三日午前八時四〇分ごろ、サンパウロ市南部のメトロ駅アナ・ローザ、シャカラ・クラビンの区間で爆破事件が発生している。アナ・ローザ駅を発車して二〇〇メートル進行したところで、最前の車両で爆破が起こり、座席や窓ガラス、扉が破損した。電車は非常ブレーキが作動して急停止した。車両に乗り合わせた三人が硝煙で目や喉の痛みを訴え手当を受けた。ほかの三十人の乗客は線路添いのプラットホームを徒歩でアナ・ローザ駅に引き返した。
警察の検証によると爆発物は手製爆弾で、爆発が起きた最前の車両は構内の防犯カメラに映らないことから、犯人は用意周到な計画をもとに実行したとみている。目撃者の情報を呼びかけて捜査に全力を挙げている。