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再び帰伯逃亡デカセギ事件=静岡県=焼津で母子3人殺害=帰伯容疑者はバストス出身=犠牲者はサントス出身か

2006年12月27日付け

 また帰伯逃亡デカセギ事件が発生した。今回もまた静岡県内で発生、日系ブラジル人親子三人殺害事件の容疑者もまたブラジル人…。しかも、犯行の三日前にサンパウロ行きの航空券を購入するなど、計画的な犯行と見られている。二十日に帰伯したとみられる容疑者の出身地は日系集団地のバストス。ブラ拓が造成した伝統ある移住地出身者が起こした事件だけに、複雑な反応が現地から寄せられている。
 二十二日午後七時半頃、通報をうけた県警焼津署員が静岡県焼津市にあるアパートの二階の部屋に駆けつけたところ、この部屋に住むブラジル国籍の女性派遣社員、ソニア・アパレシーダ・ミサキ・フェレイラ・サンパイオさん(Sonia Aparecida Misaki Ferreira Sampaio、41)と小学四年生の二男、ヒロユキ君(10)が首にロープを巻かれて殺害されているのが発見された。
 ドアは施錠されており、室内には現金入りの財布も残されており、物色された跡はなかったという。
 日本の関係者によれば名字のミサキは三崎で、サントス出身との情報もある。
 また二十三日午前四時頃、約八百メートル離れたミサキさんの知人のブラジル人男性の住むアパートで中学三年生の長男、ヒロアキ君(15)も同様のロープを首に巻かれて殺害されているのが、署員によって発見された。ヒロアキ君の身長は約百七十センチで空手有段者。胸部には刺し傷があった。
 このアパートに住んでいた男性、ブラジル籍で貸金業などに関わっていたとされるエジウソン・ドニゼッチ・ネーヴェス(Edilson Donizete Neves)容疑者(43)は、長男殺害容疑で指名手配されたが、事件発覚以前の十九日、成田空港からサンパウロ市へ向かっていたことが判明した。ネーヴェス容疑者は一時、ミサキさんらと同居していた。
 日本からの報道によれば、ネーヴェス容疑者は身長百七十五センチぐらいでがっしりした体格。日系ブラジル人の妻とともに一九九三年に訪日。勤め先を転々とし、離婚歴は二度あるという。
 静岡新聞によれば、同容疑者は今月上旬、静岡市清水区の旅行会社に電話で成田―サンパウロの往復航空券を予約。十五日に来店し、全額の約二十七万円を現金で支払った。この際、「父親が病気なので見舞いに行く」などと話したという。計画的犯行の可能性が疑われている。
 二十四日付け毎日新聞オンライン版や静岡新聞によれば、ミサキさんは九〇年頃に夫と共に訪日。焼津市内の水産加工工場で働いていた。日語は達者で、子供二人は日本で生まれ育った。夫と約二年前に別居して以降は母子三人で暮らしていた。
 ミサキさんはネーヴェス容疑者とその後親しくなり数週間前に別れた。兄弟は同容疑者を嫌っていたという。
 夫とは連絡がついており、事件と無関係と捜査関係者はみている。子供二人は公立小中学校に通っており、ヒロユキ君が十九日から学校を無断欠席しているのを不審に思った小学校が市役所に連絡。市役所が同署に通報した。
 また同毎日新聞によれば、ミサキさんは「日本に溶け込んでいた」と報じ、「三人は明るく笑い声が絶えなかった。ソニアさんを知るブラジル人男性は『早朝から深夜まで働きながら近所のごみ収集の組長もするなど、日本に溶け込んでいた。彼が事件を起こしたなら許せない。外国人には温かい人も多いのに……』と目をうるませた」と伝えた。
 一方、NHKニュースによれば長勢法務大臣は二十六日に記者会見で、「犯人がブラジルに逃げ帰った場合は、憲法や法律が変わらないかぎり、日本としてはどうしようもない。逃げ得は許さないということで、その国で処罰してもらうことを要請するといったいろいろな方策を考えないといけない」と述べ、逃亡先のブラジルで刑事訴訟を起こす代理処罰の方向で検討していく考えを示した。