2006年12月28日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ジョルナウ・ダ・タルデ紙は二十六日、盗聴ビジネスが民間興信所の職員や電話局のオペレーターなどを巻き込んで犯罪組織や民間調査機関の大きな資金源となっていることを明らかにした。盗聴ビジネスは、盗聴の度合いと顧客個人や企業の注文によりサービスの内容が広範囲にまたがる。価格は単なる交信記録の一五〇レアルから始まり、プリペイド(前払い)やポスペイド(後払い)携帯電話の会話内容の明細に至っては、一九〇〇レアルにもなる。盗聴を注文すれば、四十八時間以内に内容を入手できる。
盗聴は裁判所の許可を得て、犯罪の立件、証拠固めのために行うものばかりではなくなった。市民のプライバシーや企業秘密は、組織的な盗聴ビジネスによって固定電話は勿論、携帯電話に至っても筒抜けとなっている。犯罪組織や民間興信所は盗聴により莫大な利益を得ている。
組織はアングラ市場で、顧客の注文に応じた内容の盗聴活動を引き受ける。組織は電波コレクターなど最新の盗聴機器を備え、民間人や企業の注文を受けてライバル企業の通話連絡を録音している。当局が使用するクランプ方式は、既にお蔵入りらしい。
顧客はまず、興信所や組織の出先機関とEメールで符牒を使って接触する。次に興信所や出先のエージェントと直接会って、注文するサービスの内容を説明する。双方が合意すれば、五〇%の手付金を払う。エージェントは電話局のオペレーターに連絡する。
顧客は通常、四十八時間以内に注文の情報を受け取り、残金を払う。手付金五〇%が、興信所や出先機関の取り分になる。残金の五〇%は、背後に潜むボスへの上納金となる。
現在、興信所や調査サービスの仕事は盗聴がほとんどだ。この場合、オペレーターが鍵。容易に引き受けるオペや後難を恐れるオペがいる。しかし、まとまったお小遣いにはオペも勝てない。最近は盗聴ビジネスにも同業者が増え、競争が厳しくなった。
最も廉価なサービスは、三カ月分の交信記録である。電話局が三カ月毎に通話記録を保存するから、容易に引き出せる。顧客が今日、発注すれば九、十、十一月分が即時入手できる。価格は、通話時期や地域、単なる交信記録か会話内容の明細かで異なる。
さらに過去へ遡ると保管したマイクロフィルムの中を探索するので少し手間がかかるが、できないことはない。但し、複数の人間の手間を煩わす。関与者が多いほどリスクもある。証拠は指紋に至るまで、一切残さないことが鉄則。
組織犯罪捜査課(DEIC)のサーレス課長は、一定額以上の資産家が誰かの監視下にあることは常識だと述べた。しかし、市民の周囲に盗聴網が張り巡らされていることは、まだ知られていない。企業は秘密事項に電話を使わない。
電話局は当局の要請がなかったし、オペレーターの犯罪への関与有無を調べたことはないという。これまで、プライバシー侵害の被害届はない。報道が事実とすれば、可能性はあり得ることと電話局が認めた。電話局の機器には侵入発見ソフトが組み込まれており、無断盗聴は容易に判明するはずという。