2006年12月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ピーレス国防相は二十七日、航空会社が航空機チャーターで機数を減らし、空輸能力を超える航空券を空売りしたことは重大な過失であり、責任は行政処分を以って負わせると、官房室と空軍、民間航空庁などの合同会議で警告した。クリスマスで帰省ラッシュが起こる年末を狙い、故意に多数の航空機をチャーターで足止めにし、定期便の旅客輸送に航空機不足の支障を来たらせる悪徳商法であると、同会議は断罪した。航空会社が引き起こした業務トラブルで、一月の休暇を利用した空の旅はキャンセルが続出している。
年末年始のラッシュを狙った航空会社の悪徳商法に、政府は対決姿勢を露にした。航空機の足止めで旅客の運輸業務に支障を来たしたチャーターを厳しく取り締まると国防相が警告。民間航空庁(Anac)は、TAM航空へ運航表の審査に赴いた。
同社は定期便の航空機を運行中止し、旅行社のチャーター便へ二十三機を振り向けていた。年始のチャーター便は、さらに多数の予約がある。国内最大の旅行社とされるCVCの予約には、TAM航空は最優先サービスを行っている。CVCは一月の休暇シーズンに、毎週一九〇便のチャーター便を予約している。
政府機関によるチャーター便の監査は、野放し状態にある。チャーター便については離陸寸前に貸切許可申請書を提出するので、調べる時間がないという。当局の虚を突いた航空会社の商法で、監督官庁もメクラ判処理を行い、怠慢である。
旅行社協会は国防相発言が、ブラジルの観光界に爆弾を投じるとみている。特に世界から脚光を浴びているバイア州のポルト・セグロの観光事業には、予期せぬ津波が押し寄せるという。年末に起きた空港トラブルについて政府はもっと慎重な調査と対処を講じるべきだと同協会は述べた。
一方、TAM航空はクリスマス休暇のトラブルを、リオにおけるブラジル空港設備公社(Infraero)のシステムトラブルが原因であると発表した。二十日に始まったシステムトラブルは他空港にも波及。同公社はTAM航空の告発を否定し、双方は水掛け論を展開した。
TAM航空とInfraeroの論争に当局が介入し、Telemarに調査を命じた。結論としてシステムトラブルは、単なる外部連絡用の電話回線での故障であった。空港のチェックイン・システムへの影響は二時間であったとし、TAM航空の過失を咎めた。
消費者保護団体(PROCON)は、各航空会社のオーバーブッキング(搭乗の保証がない航空券販売)を調べた。違法行為であるが、公然の秘密としてAnacが看過していたとみている。各便の出発には、遅刻客と直前に旅行を中止する客が常にあり、空席を埋めるための苦肉の策である。
シーズンオフの通常時ではキャンセルと飛び込みが、ほぼ一致する。ところが、クリスマス・ラッシュで誤算が生じたらしい。航空券の空売りは、約二〇%とみられる。飛行機に乗り損ねた旅客には、航空券の払い戻しと罰金の支払いが課せられる。