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伯中貿易に生じた異変=出超から入超へ=輸入品が国内産業脅かす=また増えた「頭痛の種」

2006年12月29日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】中国の目をみはる高度成長にともない、ブラジルと中国の二国間貿易も拡大の一途をたどっている。しかしここにきて二国間の貿易形態に異変が生じている。これまでブラジルの輸出が輸入を上回る出超となり、貿易収支バランスが黒字で推移してきたものの、二〇〇七年には立場が逆転し、入超になるとの見方が大勢を占めている。アナリストらはさらに長期的には、中国はアメリカを追い抜いてブラジルの主要供給国にのし上がるとし、〇九年には早くもその座につくだろうとの見方をしている。これに対し、ブラジルとしては早急な対策がなく、政府にとっては「頭痛の種」がまた一つ増えたと指摘されている。
 今年の対中国輸出は八六億ドルと見積られており、〇二年の三倍に達し、昨年の二六%増となった。これに対し、輸入は七七億ドルで昨年対比四五%増、四年前と比べると五倍に上る急伸ぶりとなった。これにより貿易収支バランスは八億七〇〇〇万ドル台の黒字とみられ、〇五年度の四〇%減となった上、〇三年以来始めて一〇億ドル台を割り込んだ。これにより立場が逆転し〇七年には入超となり、貿易赤字に転じるとの見方が強い。
 ブラジルからの輸出は本格的に二国間取引が始まった一九九九年は八億六〇〇〇万ドル台だったが、年を追う毎に増加、年次順に一二億二〇〇〇万ドル台、一九億二〇〇万ドル台、二五億二〇〇〇万台となり、〇三年には四五億三〇〇〇万ドル台に乗せて、その後五四億三〇〇〇万ドルとして昨年は六八億ドル台へと推移した。
 輸出品目は農産物のコモディティに加え、鉄鉱石、原油、パルプ、木材、皮革品、タバコの葉、自動車エンジンなどの一次産品あるいは原材料が主流を占めている。農畜産部門では二〇〇〇年に二・五%のシェアーだったのが、今年十月までは輸出の一〇・五%を占めた。二〇〇〇年はわずか一九四〇万ドルだったのが、今年は二億七〇〇〇万ドルと一四倍に達した。その六〇%は大豆となっている。
 中国がブラジルのコモディティ商品を大量に買い付けていることで国際価格が高騰してブラジルの国際経常収支に大きく貢献しているものの、専門家筋はこれが課題だと指摘する、一次産品の輸出は国内産業に対し経済効果が薄く、例えば失業問題の解消に至らず、これが政府の頭痛の種の一つとなっている。付加価値のつく製品輸出への取組が不可決だとしている。
 もう一つの頭痛の種は中国からの輸入の急増だ。とくにIT関連商品の輸入が増加し、国内産業の脅威となっている。国内生産を停止して組立工場に変身した企業も数多くある。今年に入り一月から十月まで、自動データ処理機およびその部品の輸入が昨年同時期対比それぞれ九一・五%、六九・二%増となった。また携帯電話は五六・七%増となった。
 中国は高度成長と輸出促進を背景に世界各地で投資を行っている。この狙いは一次産品および原材料の自給自足にある。そうなれば長期的にブラジルの輸出は先細りになるのは必至と見られ、対応策が迫られている。これまでの二国間の貿易黒字は二〇〇〇年から年次、五億七三〇〇万ドル、九億六六〇〇万ドルで、〇三年はピークの二三億八四〇〇万ドル、その後は一七億二九〇〇万ドル、一四億八〇〇〇万ドル、そして昨年は八億七六〇一万ドルだった。