2006年12月29日付け
【既報関連】サンパウロ市の歴史文化財に指定されている二階建ての建物(サンパウロ州リベルダーデ区東洋文化会館前)が去る二十三日、火事により、ほぼ全焼した。負傷者はいなかった。同建物は一週間前の十六日早朝、雨の影響で一部が崩落したため、閉鎖されていたところだった。建物敷地が、天野鉄人氏(在東京)が唱える「ジャパンセンター」設立予定地にあたるため、建造物の今後の処理について注目を集めていたが、今回の火事で歴史文化財は完全に廃墟と化した。グローボの報道によれば、建築物の取り扱いに関する決定はまだなされていない。
火事は、二十三日早朝、午前四時半ごろに出火した。建物の前方右側が崩れた程度だったが、火事では二十部屋のほとんどが焼失し、道路から、奥側の外壁を覗くことができる。消防当局による現場検証が行われ、現在、まわりには立ち入り禁止の壁が立てられた。歩道も一部がふさがれている。
グローボ紙によれば、二十一日にも同建物から火の手があがっており、二十三日は二回目だったという。消防の発表では、負傷者、死者はでていない。
一九七八年に建築され、劣化が進んでいた建造物は、一週間前の雨により一部が崩壊。三年以上前から不法占拠していた五十家族近い侵入者のうち、二人が怪我をして病院に運ばれた。
天野氏の「ジャパンセンター」の計画は、焼失した建物が歴史的な建造物であるために取り壊しの許可が下りず、建設資金手当の問題とともに、センター建設計画実現への懸念材料となっていた。
崩落と焼失により、建造物はほぼ原型をとどめていない。今後の建物の処理について、文化財指定当局が判断がする。