2007年1月1日付け
二〇〇八年のブラジル日本移民百周年まで、ついにあと一年となった。一世紀の節目にあわせ、今年から来年にかけて、ブラジル国内でさまざまなイベントが実施されると思われる。そこでニッケイ新聞では「百周年行事予定表」として、全伯日系団体に進行中の行事計画に関する情報を呼びかけた。集まった情報から、国内各地で着々と節目の年に向けた準備が進んでいることが明らかになった。今回はじめて全伯レベルで動いている百周年全体の概要が見えたといっても過言ではない。慶賀の年に向けて、今、ブラジル日系社会はどう動いているのか。現時点で計画されている記念事業を紹介する。
■未曾有の祭典ラッシュ■
一年後に控えた百周年。その大きな特徴は、結果的に〃サンパウロ中央集権〃ではなく、国内各地の連合会がそれぞれ独自の計画を進めていることだ。
首都ブラジリア、サンパウロ、パラナの式典だけではない。リオデジャネイロ、ミナス・ジェライス、南マット・グロッソなど州レベルはもちろんだが、サンパウロ州内だけでもノロエステ、聖南西連合・リベイラ連合、スザノ市、サントアンドレー市などおのおのが着々と事業計画を温めて、各団体が記念式典を予定している。
今のままでは、間違いなく〇八年六月は、サンパウロを中心に未曾有の式典ラッシュの月になる。皇室、国会議員、県知事などの来賓が一気に来伯することになる。ホテルや警備の問題、移動車両の確保など、関係者は今から慎重に準備を進める必要がある。
式典に出席する各団体役員らも立て続けの式典、もしくは重複した日時を調整する必要でてくるだろう。
■各州で独自のプラン■
当初から独自事業を練ってきたパラナ州では、クリチーバ、マリンガ、ロンドリーナなど市レベルでも委員会を組織。マリンガでは「日本公園」、ロ市では昨年十月に死去した最後の笠戸丸移民、中川トミさんの名を関した広場を、それぞれ市内に建設する計画だ。まさに〃州を挙げて〃百周年に向かっている。
パラナ以外でも、リオ総領事館管内となるリオ、ミナスの両州でも地元日系団体が中心となって準備委員会を組織。リオでは記念式典のほか、市内に「日本プラザ」を建設する構想も進む。一方のミナスでも、州都ベロ・オリゾンテ市内の市営植物園内に日本庭園を造成する計画だ。
一方、南マット・グロッソでは、ドウラードスの南マット・グロッソ州日伯文化連合会とカンポ・グランデ日伯文化体育協会が、それぞれの事業を計画。大使館管轄の首都ブラジリアでも、ブラジル中西部日伯協会連合会が中心となって現在、事業の詳細を詰めている段階だ。
サンパウロ州では、ブラジル日本移民百周年記念協会のほか、奥地ではノロエステ連合日伯文化協会が準備を進めている。ノロエステ地方全体の記念誌編纂に加え、大盆踊り大会や、パウリスタ、アララクアラなど奥地全域によびかけての記念式典も考えられている。
このほかにも、聖南西文化体育連合会とヴァーレ・ド・リベイラ日系団体連合会が共同で式典はじめ事業を展開、またモジ市やスザノ市の日系集団地はもちろん、サントアンドレー市などサンパウロ市近郊各都市でも関連事業が予定されている。
今年七月には、サンパウロ市で海外日系人大会と汎米日系人大会が合同開催される。さらに百周年式典後の〇八年八月には、世界の沖縄県系人が集う「世界のウチナーンチュ会議」が同じくサンパウロ市で開かれるなど、日伯の枠を超えた行事も行われる。
文化イベント関連では、演劇、音楽関係者など、すでに計画が具体化している来伯公演もある。今年いっぱい、事業の具体化を図るために水面下での交渉を含め、いろいろな話題が提供されそうな年だ。
百周年まであと一年。全伯各地で記念の催しの大枠が固まりつつあるが、資金面の問題など今後の検討を待つものも多い。今年の各団体の総会を経て、計画はさらに絞り込まれていくだろう。〇七年は日伯交流年に向けた両国政府レベルの組織委員会も動き出す。国レベルの動きと合わせ、今年は何かとにぎやかな一年になりそうだ。