2007年1月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】リオデジャネイロ市を恐怖のるつぼに巻き込んだ犯罪組織の襲撃で陸軍特殊部隊隊長は三日、軍警や市警、道路警察、連邦警察が共同作戦で同市と他州を結ぶ国道の要所を固め、銃器と麻薬の搬入を阻止するよう呼びかけた。犯罪組織を封じ込める国道での検問は、カブラウ同州知事(ブラジル民主運動党=PMDB)と陸軍、連警、治安当局の間で決定した。同州とサンパウロ州、ミナス・ジェライス州、エスピリト・サント州の知事らは二日、犯罪対策で会合を開き、州の権限を拡大せず単独行動を慎み、政府との共同作戦に連携することで合意した。特殊部隊の参加規模と到着予定日は未定である。
陸軍特殊部隊は、リオの犯罪組織と直接対決することになり、軍警などの治安部隊と合流する。七月開催のパン・アメリカン競技大会の治安維持に出動を要請されていた特殊部隊は、五月へ前倒しする。要請内容は明らかでないが、犯罪組織の弱体化を狙って包囲作戦を先行したようだ。
カブラウ知事は、州が体面にこだわって権限を固持し、単独で犯罪組織に対決した時代は終わったと宣言した。これからは政府と地方自治体、治安当局が一丸となって組織犯罪に取り組むべきだとする声明を発表した。さらに各州の保安局長官は毎月一回、リオに集まり情報交換の場を持つ。
就任早々に犯罪組織のあいさつを食らったリオ州のカブラウ新知事は、州政運営と政治活動は区別すると宣言。前州政は犯罪組織の動きを察知しながら通知が遅れ、外部からの治安維持協力を断った。犯罪組織の襲撃は、新旧政権の引き継ぎ時における虚を突いて起きたことを示唆した。
市民の生命を犠牲にし、治安よりも政治的配慮を優先するのは、看過できないという。これまでの地方自治体と政府の縄張り争いにはき違えた治安活動を、同知事が批判した。ルーラ大統領の第二期政権就任式に、治安活動は国家レベルで行うことを宣言してもらうと同知事が述べた。
連邦政府は、パン・アメリカン大会に平行して開催を予定していた国家レベルの諜報活動の一本化会議を至急、前倒しで行うことを決めた。国際大会の開催前に起きた犯罪組織の襲撃事件は、不吉な予告といえそうだ。リオ市で十八日に開催予定のメルコスル首脳会議も周到な治安対策を期する必要がある。
今回のメルコスル会議は定例会議ではなく、南米十二カ国の首脳を招きメルコスルが大きく羽ばたく、ルーラ大統領の政治生命を賭けた会議である。従来の加盟国の他にチリやペルー、エクアドル、コロンビアも出席する。犯罪組織の鎮圧にらつ腕を振るったウリベ大統領が、コロンビアから来伯する。
メルコスル会議では、フェリックスGSI(大統領親衛隊)長官が治安の指揮をとる。犯罪組織に騒動を起されるならば、ブラジルは秩序を保った国なのに物騒な国のレッテルを貼られると同長官が憂慮した。メルコスルの要人護衛は、大衆の中に点在する私服部隊と各要人に付き添う護衛部隊の二重チェックで警護する計画だ。