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経済成長の加速を約束=ルーラ大統領が就任=貧困撲滅継続にも強い意志

2007年1月5日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】ブラジリアの国会で一日、大統領就任式が行われ、二期連続となるルーラ大統領が就任した。会場には民衆約一万人が詰めかけたものの、第一期目の二〇〇三年の十二万人の熱狂的な感激ぶりに遠く及ばず、寂しい就任式の様相を見せた。各界への招待状が一三〇〇枚発送されたにもかかわらず、参列者は三分の一に満たない四〇〇人にとどまった。国会議員は上議二十二人を含む二一〇人で、全議員五九四人の半数に満たなかった。
 就任式の演説で大統領は国民総参加のもとで成長を加速させることをモットーとして、可及的速やかな効果をあげることに尽力することを約束した。とくに過去二年間低迷を続けた経済の高度成長に向けてあらゆる障壁を取除いて、ブラジル本来の実力を発揮させるべきだと強調した。
 さらにルーラ政権の目玉である貧困撲滅は継続するとの強い意志を見せて、野党側の理解を求めた。また組閣人事については現職上下院議長のカリェイロス、レベロ両議長の再選が承認されるのを待って発表するとし、国会が再開される二月にずれ込む可能性を示唆した。
 これにより組閣人事は与党内調整や連立政権の談合がスムースに至っていないことを伺わせた。また今回の就任式で大統領の出身である与党労働者党(PT)と労組について一切触れなかったことから、関係者は大統領の両組織「離れ」の一環だとみている。
 この背景には大統領が汚職に関して今後厳罰で挑むと言及した上で、PTのスキャンダルで頭を痛めたことや、大統領選挙で敵対候補から厳しい追及を受けた苦渋の表れとみている。
 演説の中で大統領はとくに経済成長を課題として挙げ、実質金利が年九・五%になっていることを指摘、この是正が不可欠だとした。しかしそれ以外の具体的政策には触れず、これまでの人材登用を見直し、技術をともなった有能な人材を適材適所に配置すると述べるにとどまった。
 また貧困撲滅はさらに注力し、二〇一〇年にはGDPの五〇%相当までに投資を拡大すると言明した。教育については公立校でのIT完備、とくに全国三三万二〇〇〇校にコンピューターを残らず配置すると公約した。