2007年1月6日付け
虚子は「去年今年貫く棒の如きもの」の句を残したが、新年はやはり朗らかに明るくである。屠蘇もながら2日の初夢や初荷に始まり歳時記には「初髪の縮れ豊かに若々し 新開菊江」という粋でほほえましい季語もある。なかでも楽しいのは年賀状の往来であろう。もう30数年も会っていない日本から旧友が年賀の言葉を連ね「孫が3人になった」と書いてあったりもする▼日本の人々は昔から手紙が好きらしい。中国の蘇武が胡国にとらわれた時にガンの足に書信をくくりつけて送ったという故事から「雁書」も愛用されているし、賀状に到っては大好きなのである。日本郵政公社の調べだと―今年は19億千九百万通もの年賀状が配達されるそうだからもう天文学的なのである。あの懐かしい郵便局の景品つき賀状は3億八千万枚も発売されたそうだ▼それでも前年に比べると減っている。流行のパソコンによる「おめでとう」や「新年もよろしく」に押されてのことらしい。それにしても、日本の人口は1億二千万人と少しなのに19億枚も年始の書簡が列島を往来するのは、やっぱり壮観としか申しようがない。それが万年筆を取っての手書きで一文を認めたのならば深い感動を与えるだろうし、受取人は大喜びするに違いない▼新年の仕事始めは1月4日。初出勤の慶びは賀状を手にするときの嬉しさがある。今年もまた心のときめきを抱きながら手にしたが知人のA・Iさんから「亥」の絵が入った年賀状に女性向の奇麗な「楊枝入れ」が同封してありその心やさしさに感激しつつ新年の喜びを噛み締め「今年も幸多きを」祈りました。 (遯)