2007年1月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】RC・コンサルタントは八日、二年間にわたった農業不況にようやく回復の兆しが見えたと発表した。農業生産者は営農資金も底を突き無収入に耐えてきたが、二〇〇七年度収獲の農産物が、五六一億レアルで取引される見込みとなった。取引予想額は前年度比二二・七%増、数量にして一一〇万トンの増産となり、一億一八〇〇万トンの収獲見込みである。不況回復のけん引となったのは大豆やトウモロコシなどの雑穀が、米国のアルコール生産計画と小麦の不作で国際市場価格を暴騰させたためとされる。
長い地獄のトンネルでしんぎんしてきた農業生産者に、ようやく曙光が見えてきた。今回の作況は格別よくはないが、市場価格の高騰で二月から始まる収獲は、コンバインの音も心地よい。大豆とトウモロコシの暴騰で小麦、綿、米、フェイジョンも強気となり、生産者の懐へさらに一〇〇億レアルが転がり込む見込みである。
米国の農業生産者は、政府奨励のアルコール生産で大豆の作付けを減らし、トウモロコシ生産へ転向した。そのインパクトは、市場価格にはっきり表れている。ブラジルでも六〇キロ入りのトウモロコシ価格が、昨年比五〇%の高騰で二六レアルとなった。大豆は六〇キロ入りで三二レアル、当期相場の二五レアルを悠に上回っている。
米政府がアルコール計画を奨励しているため、ブラジルの農業生産者は作付け計画の抜本的見直しを行う必要がある。大豆とトウモロコシの市場価格高騰は今後、長期に続くと思われる。一時的後退はあっても、慢性的な強気市場は変らないという見方だ。米国は休耕地がないため、トウモロコシの作付けが増えれば大豆は減る。
ブラジルの農業生産者は、大豆とトウモロコシのどっちへ転んでも儲かりそうだ。ブラジルの農業は二年間、受難の年であった。農業融資の焦げ付きと為替差損、農産物価格の低迷、資材の高騰と四重苦に悩まされた。泣き面に蜂といえば、政府の飢餓撲滅計画も生産者価格を乱し、踏んだり蹴ったりであった。
〇八年の予想は、トウモロコシの輸出が大幅に増加し、他の雑穀へ波及すること。トウモロコシが農業生産者の救世主になり、ブラジル農業が一変する。大豆景気は蘇生。国内でも雑穀は、〇六年下半期から強気市場であった。強気相場に拍車がかかったのは、国際相場を反映した十月からだ。
〇六年第4・四半期にはトラクターの大量注文があり、農機メーカーがフル操業に入った。肥料メーカーも〇七年に大量の注文を抱えている。農業生産者は誰もが未決済の農業融資を抱えているから手放しで喜べないが、生き返ったことは確かだ。
米国がエタノール生産に消費するトウモロコシは過去五年間で見ると、年六〇〇万トンで、今後はさらに需要が増える見込み。トウモロコシの需要増で、作付け減少の大豆相場は強気市場に変わる。現在の一俵当たり三二レアルは、生産者にとって悪くないといえそうだ。