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中国、伯から多くを学ぶ=社会問題に共通点=「流民現象」は将来を暗示=出発点に立った民主主義

2007年1月10日付け

 【ヴェージャ誌一九八八号】ブラジル型民主主義に続いて中国型民主主義が話題を呼んでいる。経済が停滞するブラジルにとって、高度成長を遂げる中国方式が何か参考になるかの議論は、頻繁に聞かれる。中国の歴史学者ワン・フイ氏に、統制管理型の中国における民主主義について、ブラジルと中国の関係を語ってもらった。同氏は天安門事件をきっかけに米国へ亡命した一人である。現在は中国で、新左翼主義者として農村運動の指導に専念している。
 次はヴェージャ誌記者とのインタービューである。
 【ブラジルと中国】中国方式がブラジル経済の活性化に役立つかの質問は、耳にタコができるほど聞かされた。中国もブラジルに学ぶことがたくさんあるはずだ。中国の経済使節団と実務者が五月、ブラジルを訪問した。公式日程が終わった後、一行は資本市場とサンタ・マルタの貧民街を訪れた。
 資本市場では、高度に進んだブラジルの金融システムと同システムを動かし、世界でも最高水準といわれ、世界中へ輸出しているブラジルの金融ソフトをじっくり勉強した。
 それから、貧民街と社会福祉政策だ。どちらも学ぶところが実に多かった。ブラジルだって一九七〇、八〇年代は、中国がうらやむ奇跡の経済成長を遂げた。猛スピードで成長する経済と都市になだれ込んだ農村出身の流民は、現在の中国と同じ現象である。
 問題は、地方からの流民を受け入れるインフラ投資をしなかったこと。その点もブラジルと中国は同じ。やがて経済は減速する。景気の減速に反比例して都市へ流れ込んだ流民による犯罪は、爆発的に増える。これは中国が今後歩む道であり、大変参考になった。
 【中国の教訓】中国の例が参考になるとすれば、それはブラジルが中国の轍を踏まないようにすること。見る中国と実際に中で暮らす中国は違う。見るだけなら、一発で成功したように思われる。血の出るような試行錯誤があったのだ。そして結論として現在の方式を取り入れた。
 一発で命中する経済の処方せんなどあるはずがない。政治だって地域によって異なる。GDPの奇跡的伸びに世界は驚嘆するが、中国国民は戸惑っている。目まぐるしく変わる時代の動きについて行けないのだ。所得格差は、日々広がる。社会が歪みつつあることを肌に感じる。
 【中国と環境問題】中国の都市にはホームレスがあふれているので、森や林を切り倒し住宅を造らねばならない。植林や環境保全も必要だが、政府は手が回らない。九〇年代に中央集権から地方分権に変換してから、経済成長優先に拍車がかかっている。中国政府にとって心配の種は、環境よりも社会不安である。
 【人権抑圧と報道管制】中国政府は、全ての報道を管理しているわけではない。書店には極右思想から極左思想まで、あらゆるイデオロギーがあふれている。大学では自由に討論ができるし、当局も介入しない。外国で報道されるほど窮屈な国ではない。
 【思想は解放された】政府自身が公開討論会を奨励し、中国の進路決定に向けてアイデアを求めている。特に農村の悲惨さと医療欠落は、中国政府にとって頭痛の種だ。ブラジルと配布システムは違うが、生活扶助金制度を取り入れた。
 【中国の民主主義】民主主義は出発点に着いたといえる。成果が見えるには、まだ時間がかかる。表現の自由はほぼ完全に実現した。公社の民営化が実施され、大勢の労働者が権利保障を政府に求めた。それは、以前の中国では想像もできなかった。
 【民営化による償い】政府は労働者に公社の株券を配布し、努力の成果として配当金を支払った。これは中国に民主化が始まった証拠だ。労働者は労組を発展させて株主会議を結成し、経営に参加した。
 【中国における労組の意義】労組の設置は、資本の社会化である。かつて政府は公社を人民のものといったが、労働者は政府と党の横暴に抗議した。民営化によって公社は政府高官や有力者の所有物になり、多くの失業者を出した。そこで登場したのが、労組による労働者の経営参加だ。