2007年1月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二月二十五日】世界の産業構造はグロバリゼーション第二期に入ったと世銀(IBRD)が報告書を発表した。南米は二〇三〇年、八億人が極貧から抜け出し中流階級に仲間入りするから、一二億人の中産階級を抱える大市場になるという予測である。
世界のGDP(国内総生産)は、現在の三五兆ドルから七二兆ドルになる。南米の経済成長率は、国際経済によく連携し貿易拡大も巧みになり、現在より遥かに向上する。国際貿易は現在の三倍に増え、二七兆ドルに達する。国際経済に占める割合も四分の一から三分の一へ伸びる。
しかし、それはブラジルが政治改革や経済改革を行えばの話だ。ボヤボヤしていれば中東や西アジア、東ヨーロッパにも追い抜かれる。国際競争に参加できる状態になるよう改革を行うのは、容易なことではない。改革ができれば、技術革新が起き、生産は驚く程伸び、経済は発展する。
二〇三〇年の世界情勢は、ブラジルにとって有利な条件が揃う。世界人口は二五年間に六五億人から八〇億人へと増える。通商はドーハ・ラウンドの頓挫にかかわらず振興する。国際レベルの自由貿易はならないが、二国間や地域の自由貿易協定は完成する。
国際的な合弁や吸収合併が激増し、技術提携もひんぱんに行われる。人材や労働力の国際交流は激しくなる。教育に力を入れない国の経済は、世界の流れから外され、国民への医療や社会福祉は悪化する。
中国やインド、その他アジア諸国の経済発展が、先進国や欧米システムの労働基準を導入した国々の産業に深刻な圧力を掛ける。中国の労働市場にも変化は見られるが、これから先進国の保護主義の壁をも打ち壊すと予想される。各国の労働者の運命は、世界経済の中で条件が受け入れられるか否かで決まる。
ブラジルは、第一次産品の輸出に頼る産業構造の改革が急務である。世界の産業構造が猛スピードで変革する中、ブラジルは減速経済で試行錯誤している。ブラジルは、経済のファンダメンタルス改善と投資促進の環境つくりをする必要がある。そしてもっと生産性の高い産業を興すため、技術を導入し、人材を育成せねばならない。
世界はブラジルのために待ってくれない。ブラジルが流れから遅れを取れば取るほど、挽回は難しくなるとIBRDはみている。ブラジルはグロバリゼーションについて、余りにも無関心である。G―20だとか途上国連合などといってないで、チャベス大統領やモラレス大統領に少し学んでみてはどうか。