2007年1月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】南東伯治安会議が公式に発足した九日、セーラサンパウロ州知事は組織犯罪への対決には刑法の改正が必須であることを国会へ訴える意向であると同会議で言明した。また出席した四州知事と治安担当者は、昨年度予算で承認済みの治安対策交付金の即時支払いを要求する公文書を連名で、ルーラ大統領に手交する決議をした。現行法によれば、刑務所内における服役者の携帯電話所持と使用は犯罪と見なされないし、罰せられることもない。また証拠不十分による仮釈放が、組織犯罪という火に油を注いでいるとされる。
刑務所内の暴動教唆や未成年の犯罪には、適用する刑事罰がない。刑法の欠陥は多く、ブラジルの犯罪を取り締まるには不十分という第一回治安会議の結論である。サンパウロ州知事の音頭で、まず議会へ刑法改正を提案することになった。しかし、出席者は総論賛成だが、各論は検討の時間が欲しいとちゅうちょした。
刑の種類を増やし服役期間の延長を決定する前に、心理的影響について専門家の意見を聞く必要がある。本来なら議会が率先して超党派活動などで刑法改正を押し進め、取り組むべき問題である。治安会議は組織犯罪の特徴を指摘し、犯罪の核になる知能犯に重刑を科すことを提言すべきだとした。
PCC(州都第一コマンド)の活動が深刻化した五月、議会は州と合同で、組織犯罪と治安システム、刑務所管理システム、携帯電話の扱いについてプロジェクトを立ち上げていた。セーラ知事はこれを、一、携帯電話の扱い。二、未成年犯罪。三、刑罰強化。四、組織犯罪の定義。五、刑務所暴動の五項にまとめた。
犯罪学の専門家は、最近の刑務所管理について問題点をセーラ知事が指摘したという。犯罪組織の成長を阻止する法体系つくりの提言とみている。もう一つの問題は、刑務所内に定着した汚職システムだ。服役者と職員のゆ着関係は、刑務所管理のガンである。
治安会議は、刑務所内の汚職システムにまで言及していない。これまで刑務所汚職にメスが入ったことはないし、これからも看過される可能性がある。組織犯罪が社会問題になった原因についても、討議されない。ブラジル社会へ広範囲に浸透した組織犯罪の根を断ち切るには、時間がかかりそうだ。
刑務所が服役者の社会復帰のための訓練所という本来の趣旨は全く無視され、会議は選挙運動の道具だと人権団体が批判した。提案は事後措置ばかりで、犯罪の芽を摘出する事前措置はない。刑罰強化は社会問題の増幅であり、問題の先送りに過ぎないとみている。
次の犯罪防止法案が現在、議会の表決待ちで棚ざらしになっている。一、主犯用の独房と携帯電話の持ち込み禁止、外部との接触禁止。組織犯罪の定義。二、弁護士はビデオカメラで接触し、直接接触を禁じる。三、犯人割り出しや犠牲者の身元確認、盗難品回収で捜査に協力した被告の減刑。四、横領や汚職による不法資産の情報提供。五、仮釈放と減刑の規定。