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知名度低いままのサンパウロ市長=就任後9カ月経過=ほぼ半数が「知らない」=慎み深い?何もしない?

2007年1月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】南米最大の都市サンパウロ市で、市民の約半数が「オラが市長」の名前すら知らないという実態が、意識調査で明らかになった。この知名度の低さは、そもそもカサビ市長が選挙戦に打ち勝って就任したわけではなく、圧倒的な支持を受けたセーラ前市長(現サンパウロ州知事)との連立で副市長に就任、昨年三月に前市長がサンパウロ州知事選に出馬するために辞任したため、トコロテン式に市長に昇格した経緯がある。しかし就任後九カ月間が経過しており、知名度の低さは異常として映っている。関係者はよく言えば慎み深く目立たない政治家とし、悪く言えば市民にアピールする市政を何ら施していないと決めつけている。市民の市長に対する評価を分析してみた。
 意識調査はインフォルムエスタードにより十二月十六日と十七日の二日間、サンパウロ市民で選挙権を有する十八歳から六十四歳までの男女六〇八人を対象に、各地区の選挙人口の割合に応じ無差別に行われた。
 それによると「市長は誰か」の問いに四五%が「知らない」あるいは「未回答」だった。正解のジルベルト・カサビと答えたのは三五・六%のみで、セーラ前市長が一四・三%、レンボ前サンパウロ州知事が一・八%、マタラゾ元区長が〇・二%、その他が三・一%の結果となった。
 カサビ市長は昨年三月に時のセーラ市長が辞任したことで自動的に副市長から昇格した。就任三カ月後の六月に同様の意識調査が行われ、その時に市長を知らないと答えたのは四三・五%だった。その半年後の今回の調査で四五%に増加したのは奇妙な現象といえる。在任期間が長いほど知名度が高まるはずなのに、その逆現象となっている。
 政治アナリストはこれに対し、無知はさることながら市政に無関心である証しだと分析している。しかしいっぽうで、先月に実施された路線バスの値上げについては六三%が非難する回答を寄せていることから、あながち市政に無関心というわけでもない。
 カサビ市長の評価は「最良」が二・一%、「良」が一二・九%、「普通」が四一%、「悪」が一二・八%、「最悪」が一六・五%、「わからない、あるいは未回答」が一四・七%だった。前回の調査では「普通」が三三・四%だったことから、この割合が急上昇した。
 アナリストらは、「普通」の評価が急伸したのはこれまで唯一手がけた屋外宣伝広告の禁止が市民の賛同を得たとみている。これは市長自らの提案で、市内美化運動の一環としてアウトドアーやパイネルでの広告を禁止。一月一日から実効となっている。しかし反面、家屋税の引き上げを画策し、議会に上程したものの、野党はおろか与党にまで反対されて提案を撤回した経緯がある。もしこの条例が承認されていれば市民の反発を買い、評価は悪くなっていたとみている。
 これまでの二人の前任市長はマルタ元市長が項目順に二・九%、二二・四%、四〇%、一三・四%、二〇%、一・三%で、セーラ前市長が九・三%、三一・一%、四〇・三%、八%、九%、二・三%となっている。三者を比較するとカサビ市長は「普通」でトップに立ったものの「良」では大きく水を開けられている。「わからない」も抜き出ており、無関心ぶりを露呈した。
 カサビ市長の市政での主な「不評」は保健衛生(二六・二%)、水害対策(一五・六%)、保安(一四・八%)公共交通輸送(一四・七%)、教育(九・二%)で、逆に「評価」されているのは清掃(一七・八%)、教育(一二・一%、公共交通輸送(一一・一%)、道路整備(二%)と意見が分れている。
 また、前記先代二市長との比較では、「非常に良くなった」が三・四%、「良くなった」が一九・四%、「変りなし」が三四・一%、「悪くなった」が三三・九%、「非常に悪くなった」が六・三%、「不明」が二・九%で、改善されていないと感じている人が多数だった。