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百周年で予算が〝数倍〟か=国際交流基金=ブラジル関連の総額で=本部と企画を調整中=地方への事業展開も

2007年1月13日付け

 従来の数倍もの予算がブラジルに?――。二〇〇八年の日伯交流年に向け、国際交流基金が数々の本部主催事業を計画しており、助成事業も含めブラジル国内での事業予算総額が従来の十倍にもなる可能性すらあることが、ニッケイ新聞の取材で明らかになった。本部主催の事業は例年、年に一、二件だが、交流年には、すでに計画が明らかになっているものだけで三件の事業を主催、大型の助成事業が一件ある。「現状と比べて、数倍額の予算が交流年に向けられる可能性もあります」と、同基金サンパウロ日本文化センターの西田和正所長は話している。
 国際交流基金に対する政府予算は年間約百三十億円。その事業には、東京にある本部が主催するもの、海外にある各センターが主催する在外事業と、基金が助成をする事業との三種類がある。
 それぞれにブラジル関連事業が振り分けられており、その総額で数倍になることもありえるという。
 「独立行政法人の改革もあって、基金全体の予算は年々右肩下がり」と西田所長。交流年であっても、政府予算が増えることはないだろうと予測した上で、「基金の通常予算の中で日伯交流年に向けて、ブラジルへの予算が倍になる」という。
 なかでも、メインとなるのは本部主催事業。大きいものでは一件で一億円程度の予算がつくものもあり、センター主催事業や、数十万円で実施されている他の事業とは比較にならない。
 基金本部では現在、〇八年六月から八月にかけて現代美術展を企画中。二月、八月末から九月にかけても一件ずつ、本部主催事業が用意されている。また、〇八年五月、六月には、国際図書ビエンナーレが〃日本〃をテーマ国として開催されるため、日本からのものの取り寄せは基金が担うことになるそうだ。
 さらに、基金からの助成事業についても、例年に比べて交流年での「申請件数はかなり多い」(西田所長)。〇八年十一月から十二月にかけて日本のグループによる公演に助成金を出す見込みで、大きな事業になることが予想される。
 「できる限りバックアップしていきたい」と話す西田所長。「会場の予約や段取りなど、早めにおさえていこう考えています。今は、具体化に向けて動いているところです」と現状を説明した。
 同センターの浦祐一主幹は「二〇〇八年には大都市中心になりがちな行事を地方にも持っていきたいと思っている」と話した。

【国際交流基金事業概要】=国際交流基金は二年前に独立行政法人となり、文化を通じた交流事業に携わっている。
 事業内容は、海外公演や映画祭などの文化芸術交流事業、日本語能力試験や日本語教育機関支援、教師研修などの日本語普及事業、図書寄贈、研究フェローシップなどの日本研究・知的交流事業の三種類。
 基金には、毎年、約百三十億円の政府予算がつくが、サンパウロ日本文化センターの予算は年間二億三千五百万円で、総事業費に対し一・九パーセント。アメリカ(一〇・九%)、フランス(四・五%)、中国(四・三%)、韓国、オーストラリア、インドネシア、ドイツ、タイに続いて第九位になる。
 ただ、予算額に比べ「これだけ多くの事業をやっているところはない。事業件数が多い」と浦主幹。二〇〇五年度のブラジル国内での、本部事業の実施実績件数は九十件。研修などの対象になった個人は三十八人いる。
 この他に、サンパウロ日本文化センターでも四十二件の事業を実施している。
 基金の政府予算が年々削減傾向にあることを受けて、日伯交流年の最初の三カ月を含んでいる二〇〇七年度での、サンパウロ日本文化センターの予算は金額で見ると削減。センターとして「効率的な事業の実施をしていきたい」と西田所長は話した。