2007年1月17日付け
【フォルタレーザ】セアラ州の州都フォルタレーザの市街地にある〃メルカジーニョ・ジャポネス〃。「缶詰でなくて、新鮮な野菜を食べてもらいたい」。足立ハルオさん(74、一世)が、そんな思いで小さな八百屋を始めて、今年で三十八年。店は大きくなり、近隣の町から日本食品を求めて日系人らが訪れるようになった。が、しかし、「まだまだブラジル人は(野菜を)食べませんね」とコーディネーターの国井千世子さん(60、一世)。野菜普及のための試行錯誤は、今でも続けられている。
店に並ぶ野菜と果物の種類は八十を越える。店内の大きなカウンターの上から下までが、すべて緑色で埋まり、店の中央には山積みのフルーツ。ひとつひとつの野菜には、それぞれの栄養分が示され、具体的に「体の何に役立つのか」が表記されている。
「ノルデスチには本当に野菜がなかったころよ」と、足立さんは営業を始めたころを振り返った。二十二歳でトメアスーへの呼び寄せ移民として来伯し、ペルナンブッコ州、パライーバ州を経て、セアラに着いた。
日持ちするものはサンパウロから取り寄せ、それ以外の商品は自分で栽培して販売を行った。「百姓だから作り方は知っとったから」。今でも「少し」の葉野菜類は栽培を続けている。
白菜、大根、ナス、ブロッコリー、レタスなど。南部からの移住者もおり、店は大いに繁盛した。自由市や中央市場にしかなかった野菜を、「大きな店を構えて販売していたことが人目を引いてよかった」と足立さんは話した。
二十年ほど前から日本食材を扱い始め、味噌、醤油、うどん、かつお節、ふりかけやのりから、箸、お椀などの食器も並ぶ。
一世が買っていた日本食材も、日本食のブームで、あまり食べなかった二世やブラジル人に広がり、最近では中国人、韓国人が「多くて、よく買っていく」。リオグランデ・ド・ノルテ州、ピアウイ州からの客もあるという。
二年前から国井さんがともに働くようになり、日本食の本を日本から取り寄せて、「しいたけやシメジの食べ方を知らないブラジル人」に紹介した。
日系人の要望に答えて、七年前から餅を売るようになり、年末の三日間だけで百二十キロを用意。国井さんは「ブラジル人でも雑煮をつくるのよ」と餅の普及を喜んでいた。
「もう歳だからねー」と足立さん。店の隣に開店した日本食料理屋を息子に任し、「もう引退かな」と笑っていた。
Mercadinho Japones=Avenida Antonio Sales, 2435 Fortaleza-CE