2007年1月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】リオデジャネイロ市北部のファベーラ(貧民街)、マンゲイラへ逃げ込んだ積荷強盗の一味六人を追った軍警は十六日早朝、手入れに抵抗するマフィア、CV(コマンド・ヴェルメーリョ)と三〇分にわたる銃撃戦を交え、三人を射殺した。覆面で武装した一味は、マンゲイラの丘付近で路線バス二台と乗用車一台を焼き打ちした。軍警は同地域へ通じる全ての街路を閉鎖、商店街はシャッターを降ろし、死の街と化した。丘へ通じる全街路に、マフィアは古タイアや空き箱を積み上げ火を放った。しかし、積荷強盗は逮捕できなかった。
銃撃戦があった十六日早朝、現場付近は流れ弾による被害を防ぐため通行止めにした。商店はマフィアの通告により、店を閉めた。付近住民によれば、流れ弾により子供一人を含む市民四人が巻き添えを食ったという。マフィアのほうが、より精度の高い銃を所持しているらしい。
積荷強盗らが、マンゲイラを支配するマフィアの庇護を受けているのは確かだ。当局が特殊部隊の派遣を受けて国道の拠点を監視中であるが、応戦の準備完了とマフィアが通告してきた。特殊部隊の装備がマフィアより劣ると関係者は心配している。
空をヘリが旋回し、積荷強盗取り締まり課の係官や市警特殊部隊など一〇〇人が十六日午前九時、マンゲイラを包囲した。マフィアは治安当局の注意をそらすため、隣接地区トゥイウチのマフィアに、バスに放火するよう携帯無線機で指令した。
目抜き帽を被ったマフィアのメンバー二十人は、走行中のバスを止め、運転手や車掌、乗客二十人を降ろした。乗客が急いで降りる間に車内は炎に包まれ、瞬時の出来事であった。
射殺された三人のうち一人は身元が判明。三人はいずれも、病院への搬送中に息を引き取った。積荷強盗と麻薬密売は、判別が難しく混同される。麻薬密売は最近、当局の取り締まりが効を奏し弱体化している。麻薬密売組織は目下、他の違法活動を探し、仕事変えを模索している。
陸軍治安部隊五〇〇人は十四日、リオへ到着し、リオ州知事の指揮下に配属された。同州保安長官が任務の配分を行い、同州軍警部隊や消防隊と合流する。陸軍治安部隊には独自の部隊長がいるが、指揮系統は州の管轄下で行われるようだ。連邦陸軍ではなく、連盟陸軍だということ。敵は当分、マフィアだ。
十六日と十七日に、州の治安関係者が実情説明を行う。十八日に特別訓練を受け、十九日には他州との連絡要路となる十九拠点の配置に着く。毎日マフィアと対決しているリオ州の治安当局者には、坊やのような陸軍治安部隊は頼りないらしい。どんな訓練を受けてきたのか心もとない。
ファベーラ、マレーの麻薬マフィア取り締まりを担当するロウリー刑事部長によると、任務は戦術と戦略からなり、敏速な判断や応用が要求される。帳面とエンピツで勉強した治安部隊の任務遂行が心配だという。実務は現場でしか学べないもので、極度のストレスの中で生活するのだから、心理的な自己管理能力も必要だという。