2007年1月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】サンパウロ市ピニエィロス区の地下鉄工事現場での陥没事故発生から五日が経過した十六日午後八時二十分、女性弁護士(37)の新たな遺体が発見された。これで犠牲者の遺体収容は二人目となり、消防救助隊は残り四人の不明者の捜索を続けている。
しかし、地盤のゆるみから第二、第三の事故再発の可能性が高く、救出作業の中断が伝えられていることで、不明者の家族らは生存をあきらめてとしながらも、せめて遺体を収容して人並みに葬儀を営みたいとの切なる思いを訴えている。
事故の原因を調べているサンパウロ州検察局は工事請負業者がコメントした「降雨が原因」を責任転嫁の言いわけに過ぎないとして、業務上過失として起訴する方針を固めた。責任者は一年から四年の量刑となり、致死罪が認められると三分の二が加刑される。
これを受けてセーラサンパウロ州知事は十六日、事故の原因と責任の所在、安全を第一とした今後の工事計画が出るまで工事の支払いを一時停止することを決定し、業者に通告した。いっぽうで専門家筋によると、事故による被害の賠償金の負担は州政府(発注元のメトロ公社)にあり、その後政府が業者から回収する立場になるという。業者が不服として提訴すると長い係争となり、州政府としては頭痛の種となる。
事故で避難を余儀なくされた同区カプリ街の住人六〇人は十六日、集会を開き、賠償金を請求することを決めた。全てが公的機関の検査を受け、改修費用を現金で支払うよう要請した。集会にはサンパウロ州政府関係各長官のほか、セーラ州知事も顔を見せて、「希望に添うような万全を期す」と約束した。
新たに遺体で見つかった女性弁護士は十年間連れ添った夫と別居中で、サンパウロ州カラクイバ市で子供三人とともに公営住宅に住んでいた。毎日パウリスタ鉄道で事故現場近くのオモニマ駅で降りてマイクロバスに乗り換え、勤務先のアルト・デ・ピニェイロス区の法律事務所に通っていた。遺体はバスの中で座席にはさまれて身動きがとれない状態だったという。現場で指紋が採取されて身許が確認された。