ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 熱い、生ビールの戦い=業界トップ仕掛ける=海辺で移動販売や宅配も=バンバンザイのビール党

熱い、生ビールの戦い=業界トップ仕掛ける=海辺で移動販売や宅配も=バンバンザイのビール党

2007年1月19日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】今夏、ビール業界に生ビール(ショッピ)施風が吹き荒れようとしている。仕掛人は業界トップメーカーのAmBevで、ブラーマのブランドで業界になぐり込みをかけている。対するはカイゼルのブランドで知られるFEMSA社で、生ビールはソル・ブランドを押し立てて、冷たい生ビールを間に熱い商戦を展開している。これまで生ビールは特定の容器を有する店でしか販売されなかったが、ブラーマは人の集まる所にはどこにでも出掛ける販売巡回を始めた。いっぽうソルは家庭に持ち帰りできることを前面に押し出して熱戦を展開している。
 今年の夏、サンパウロ州の海水浴スポットのプライア・グランデやグアルジャの海岸に、ブラーマ印の生ビールの移動式販売者が初めてお目見えした。車にはショッピ取り出し容器が積まれ、客の要求でその場で汲み上げて手渡す。海岸でアイスクリームやパステルなどを行商しているが、まさにそれと同様のスタイルを取り入れた。
 メーカーは三〇〇台の手押し車を試験的に投入したが、好評を得たことから、今月一杯営業を続けることにした。これに気を良くして来シーズンはほかの海岸にも拡張することを決めた。海水浴に限らず、人の集まる所に出向いて販売できるとの確信を得た。
 国内トップメーカーのAmBev社は国内シェアー五七%,単品ではスコールが三二%のシェアーを有しているものの、ライバルメーカーの追い上げや、昨年来からの輸入品の急増でその地位を脅かされ、対応策を迫られていた。そこで目をつけたのが生ビール拡販で、ブラジルでは近年生ビール販売店が従来の九〇〇〇軒から一万二〇〇軒に増加して、根強い人気を示したものの、ビール販売店の一〇〇万軒以上に対して微量となっている。
 同社は二〇〇三年にプロ五万人を動員して、ショッピング・センターや空港、バスターミナル、商業ビル内にショッピ直販店をオープンして拡販に乗り出した。海水浴場では浜辺のキオスクを拠点とした。これにより現在七州で八〇店のチェーン店を有している。さらにショッピを家庭に配達するショッピ・ブラーマ・エクスプレスも六州で七店営業している。
 今夏始めに海岸の巡回販売はこれまでより人海戦術を取り入れたもの。客が来るのを待つのではなく、こちらから押し売りするという積極戦略となった。これらの三年間の試行錯誤で年間二〇%の販売増加となったことで、さらに本格的に注力することになった。
 いっぽうで、カイゼル印で知られるFEMSA社も負けじと対抗している。同社はビールでカイゼルのブランドのほか、ハイネケン、シングー・バヴァリアなどを販売、広告宣伝を駆使して拡販に注力している。
 生ビールはインテリ層に高い人気を博しているソルを擁して家庭配達を先がけた。生ビールはウイスキー同様、販売店のマージンは二〇〇%を越えるもので、一定以上の人数だとメーカー直販が安上がりとなる。数量によってはビン詰あるいは缶ビールよりもお得となる。容器レンタル込みで一六〇レアルから二六〇レアル(注文量により異なる)となる。また同社はサンパウロ州海岸のリビエラ・デ・サンロウレンソし市でソール・エクスブレスの名で生ビール直販店をオープン、カーニバルまで営業を続ける。
 このようにして生ビールをめぐるし烈な商戦がエスカレートしているが、どこでも手軽に生ビールを飲めることはビール党にとっては万々歳なのである。