2007年1月20日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十九日】「メルコスル結束のためにルーラ大統領は、政治的機能回復剤ヴァイアグラを服用せよ」と進言したベネズエラのチャベス大統領に自制を促したルーラ大統領は十八日、ベネズエラにメルコスルを支配させないし、加盟国批判やメルコスルへの指南も認めないと述べた。またアルゼンチンのキルチネル大統領に対し間接的に、新加盟国の対応に寛容であることを求めた。域内共通の関税協定を受理しないボリビアの加盟をアルゼンチンが拒否した。ボリビア加盟はブラジルの独断ではなく、容認検討の委員会設置を隣国が求めた。
リオデジャネイロ市で十八日、メルコスル首脳会議が開幕した。テーマは、一、未整備の域内共通関税の協定締結。共通の税関コード導入。自動車と部品の制限撤廃。二、摩擦を生んだセーフガード(輸入制限)。域外輸入品への課税。三、今後の課題。チリとの自由貿易。国連や世界貿易機関(WTO)、米州機構(OAS)とメルコスルの関係修復。対FTAA(米州自由貿易地域)と対EU交渉。民主政治の擁護。
メルコスルの柱ともなるべき伯亜両国は、共同市場成否の鍵を握る責任者であるとルーラ大統領は開会の辞を述べた。協定の美味しい部分を独り占めに出来ないし、弱小国から権限のはく奪もしてはならないという。チャベス大統領提唱の二十一世紀における理想的社会主義について、まだ十九世紀も二十二世紀も考えていないと答えた。
メルコスルの兄貴分は伯亜両国であり、ベネズエラの新参者に余計な口出しをさせないという。二十一世紀は各大陸がブロックを形成しているのは事実で、経済大国ブラジルは一大陸の拠点として責任重大であると語った。
南米各国は、政治的に成長したと大統領はみる。昨日までは、隣国の事業家が自国の産業を踏み潰すので敵視した。しかし、時代が変わり、一人では何もできないことが分かった。メルコスル首脳会議も地域結束のためカーニバルの前日に開催し、閉会後共に踊って帰るように時期と場所を考慮すべきだと述べた。
メルコスルには、色々な見方がある。政治的にはベネズエラの加盟が大きいという見方だ。政治的に観察するなら、域内関税協定にこだわるのは小さい。ブラジルが格好をつけても世界から相手にされるのはチャベス大統領のお陰で、ボリビアはオマケという見方だ。チャベスは薬にも毒にもなる男と、専門家は捉えている。
問題の焦点は、ブラジルがメルコスル結束のために払う犠牲が有効か無駄かである。経済的に観察するなら、ブラジルは牽引車としては力量不足で、経済成長が必要という見方だ。
チャベス大統領を好むと好まざるとにかかわらず、メルコスルに三枢軸ができ、エネルギー大国の基礎が築かれたのだ。これは戦略的に大きい。次の目標は、太平洋と大西洋の横断道路である。暴れん坊チャベスの子守り役に、チリを招くという意見もある。