2007年1月24日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】ルーラ大統領は二十二日、経済活性化の暫定令や計画案などを盛り込んだ経済活性化法案(PAC)が政府財源の投入で支えられ、実現可能なものだと強調した。PACの起爆剤となる財源は、ペトロブラスの二〇〇五年/一一年度予定の事業計画やエレトロブラスの〇六年/一五年度エネルギー計画などで立案され、投資計画も織り込み済みのものと説明。政府予算から新たに投入するのは、わずか一一五億レアルの見込みという。PACが計画通りに実施されれば、〇七年は四・五%、〇八年から五%の経済成長が見込まれると確信の程を見せた。
経済活性化法案(PAC)が泰平の眠りからブラジル経済を覚醒させるのか、注目が集まっている。ルーラ第二次政権の目玉ともいうべき経済活性化法案は、三カ月にわたって討議された。しかし、同案が日の目を見るためには、州知事や国会、民間企業の支援が必要とされる。
一連の法案で要は広範囲にわたるインフラ投資である。安定経済から成長経済への路線切り替えで陣頭指揮を採ったロウセフ官房長官によると、経済活性化の鍵を握るのは州知事だという。州知事は、同案の優先順位で事前の打診がなかったと不服の体だ。
同案の投資総額五〇三九億レアルのうち二八七〇億レアルは、政府と公社が捻出。残り二一六九億レアルは、民間の協力に期待している。これで財政黒字の四・二五%は、三・七五%へ引き下げられる見込みだ。さらに民間投資促進のための減税も行われ、一二〇億レアル以下の税収減も見込まれている。
全国民の期待を背負って始動したPACであるが、外紙は懐疑的見方をしている。ウオール・ストリート紙は、長期的に財政収支が悪化し、経済成長は望めないとみている。ゴールドマン・サックスは、経済政策の変更により財政の管理不備からブラジルは目的に逆行するという。
英紙フィナンシアル・タイムズは、ブラジルの国家財政を破たんさせつつある社会保障院の累積赤字と、政府経費のガンである国家公務員の給料問題を差し置き「経済活性化だ。金を貸せ」といわれても無理な話と一蹴。
PACに対し投資家は、こうみている。公共投資の意向を述べただけで、活性化はない。経済成長があっても、過去四年の成長に毛が生えた位。上程の減税では、活性化に遠く及ばない。資金調達は投資ファンドを使えば、容易に得られるから資金環境はよい。しかし、PACは大山鳴動してネズミ一匹だ。
財界は税法と労働法の改正なく、PACの効果はないとみている。国民から絶大な支持を集めた第二次政権のスタートは、大事を決行する絶好のチャンスであったが、政府は無駄にした。ルーラ大統領は、優柔不断の保守主義者に過ぎないという。
PACは、過去の政権が試みて失敗した程度の経済改革という批判が多い。産業界は重税という足かせを課せられ、労組というダニに蝕まれている。経済活性化は、政府のインフラ整備と産業界の活力による二重奏の産物だといわれる。