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経営厳しくみられる中で――今年も農協活性化セミナー――4カ国18組合が参加

2007年1月24日付け

 第七回日系農業協同組合活性化セミナー(JICA、農拓協共催)が、二十一日から二十六日にかけてニッケイ・パラセ・ホテルで開催されている。今回はアルゼンチンの日系農業者団体協議会、カノインニャス農業協同組合、パウリスタ柿生産者協会、プロ・プロール花卉生産者協会が初参加。パラグアイ、ボリビア、ブラジル全国から計十八農協が集まり、各農協からの現状報告、講演会、分科討論会と生産地視察などを予定している。
 「移民がやってきた農業から、地域に根付いた農業になってきた、という印象を受けました」。二十二日に、各農協からの現状報告を聞き、農拓協の近藤四郎会長はそう話した。
 コチア産業組合解散以降、活動に行き詰まっている農協に活性化を、という目的で始まった同セミナー。しかし、最近ではネットワークを生かすためにも、大きく伸びている農協にも声をかけ、意見交換を役立てたいとしている。
 「コチアがなくなってから、どこの農協も経営に対して、厳しい目で判断するようになっている」と近藤さん。「生き延びてるだけあって、『参加して何の得があるか』とシビアに見られてる」。
 しかしその一方で、「自分の利益を上げることに精一杯だったところから、最近では、地域のことを考える団体が出てきた」。
 インテグラーダ農業協同組合では社会事業のプロジェクトとして、貧しい家庭の子供たちを対象にした「ほほえみを植える」プロジェクトを実施。昨年には同農協十四支部が百十六団体と九千六百人の子供を対象とした。環境対策のプロジェクトやコーヒー資料館を、というプロジェクトも動いている。
 また、イグアスー農業協同組合も植林を奨励し、環境問題対策に取り組んでいると紹介した。
 パラグアイでは農協やJICAが協力して、小規模農家を支援し、経験や流通についての情報を交換する活動があるという。
 近藤さんは、それらの事例をあげ、「借地農法の考え方とは違って、儲けを地域や周囲に還元するようなやり方。長続きする、地域に根をはった方法になったと思う」と話した。最近では「職員・従業員」ではなく「コラボラドーレス」という呼称が使われると、「経営者の感覚が変わってきた」ことを強調していた。
 二十二日に行われた開講式には阿辺一郎在ブラジリア大使館書記官、田畑篤史在サンパウロ総領事館副領事、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長らが出席した。阿辺書記官は島内憲大使のメッセージを紹介。島内大使は「百周年には、ブラジルはもとより、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンとの更なる(日本との)交流が築かれていくことを期待している」と言葉を寄せ、阿辺書記官は「現地の生の状況を聞いていきたい」と話した。