2007年1月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】農務省経済管理局は二十八日、ブラジルのバイオエネルギーが投資の中で特に注目され、年々外国からの直接投資が過熱していると発表した。ブラジルのアグリビジネスへの直接投資が二〇〇六年、十年前は全投資の六%だったものが一六%へ増え、三五億ドルに達した。同投資ははしりであって、この後に肥料や農機具、農業資材などの追加投資が続くと農務省はみている。外資によるブラジルへの本格参入の兆候は他に、アグリビジネス投資目的のエクイティ・プライベート・ファンド(株式持分基金)が〇七年に二〇億ドルに達し、前年比で倍増見込みとなったことだ。
農業分野での外国資本の参入は二〇〇〇年当初、バイア州西部へ入植した米国人大豆生産者の一団が草分けであった。グループは大豆と平行して、バイオエネルギーにも力を入れた。さらに同グループは、畜産や植林、コーヒー栽培にも意欲を燃やしている。
しかし、最も力を入れているのは、サトウキビによるエタノールだ。これは、自動車燃料全体の二〇%を再生可能な燃料で代替するというブッシュ米大統領の十カ年計画に刺激されたようだ。米国は二〇一七年に一三二〇億リットルのエタノールを要するという。
これは、ブラジルが同時期に生産する予想量の四倍に当たる。投資家らにとって願ってもないことだ。これまでに米投資家が、どれだけブラジルに資本投下をしたかの記録はない。中央銀行の資料によれば、エタノールへの直接投資はうなぎのぼりである。
米系資本のカーギルは二〇〇六年、ヴァレ・ド・サプカイのCevasaから株式の六三%を買収し、さらに二社と買収交渉を行っている。フランスのテレオス・グループも、エタノール精製所の買収に奔走している。
エタノール生産機器の製作で世界最大規模を誇るピラシカーバ市のM・デジーニは、大量注文の殺到で嬉しい悲鳴を上げている。注文のうち三〇%は、外国人投資家か外資系企業の注文という。この三〇%は、二〇〇六年に入った注文という。これは外国資本がエタノール生産へ舵を取ったことを物語っている。
当初農地購入から始めた外国人生産者の投資から、最近は機関投資家によるエクイティ・プライベート・ファンドへの動きが顕著だ。これはコモデティの市場支配から始める手法。魅力的な取引さえ発掘すれば、資金はいくらでも調達できるというグループがある。彼等からみれば、ブラジルのアグリビジネス投資は第二回戦に入ったのだそうだ。
狙うは既存企業への資本参加やジョイント・ベンチャー。農業への投資といっても、土をいじるわけではない。同投資家は、農業技術を有する生産者とアグリビジネス協定の締結を目論んでいる。生産は生産者が担当し、投資家が販売を担当するという。
同タイプ投資の好例が、マエダ・グループの綿栽培といえる。投資家は勝手の知れた外国市場で、ブラジルの生産物を売る代理人となる。この投資家はEU系が多い。EU市場を熟知しているからだ。