ホーム | 日系社会ニュース | 弾みつく植林行動=パ国イグアスー日本人会に=環境保護委員会が産声

弾みつく植林行動=パ国イグアスー日本人会に=環境保護委員会が産声

2007年1月30日付け

 【イグアスー移住地発】昨年十二月二十八日、パラグアイのイグアスー移住地で「環境保護対策委員会」が産声を上げた。日本経団連自然保護基金の助成を受けて、同年五月ころから行ってきた一連の植林活動が五つの森∧交流の森・子供の森・鶴寿の森・青年の森・太鼓の森∨の誕生につながり、徐々に住民の意識が喚起されてきた。この機運を維持しながら、〇七年には活動の輪をさらに広げよう、と日本人会(福井一朗会長、岩手県出身)が特別委員会の設置を決定したものだ。
 委員会は篠藤菊雄(委員長・愛媛県)、大西ホルヘ(二世)、工藤敏男(岩手県)、幸坂佳次(秋田県)、竹内一郎(高知県)の五名(敬称略)で構成されている。
 一月十七日に発行された会員向けの回覧の中で「〇五年に当会が申請しましたプロジェクト『入植五十周年に向けた植林活動と環境教育』への助成が日本経団連より承認され、約一億一千万ガラニーの助成金を受領した。今後、植林、環境教育などの事業を行っていく予定。この事業を計画的かつ円滑に推進するため、イグアスー日本人会環境保護対策委員会を設立した。同事業の一環としてすでに育苗センターの建設に取り掛かっており、会員にも利用いただけるよう準備を進めている。移住地の将来を考えるときに、同事業の推進は重要なものとなってくると思われるので、会員の理解、協力をお願いしたい」と記述されている。
 委員たちは一月二十日に育苗センターの建設が進んでいる現場を視察した。
 篠藤委員長の発案で、育苗センターの周囲に倉庫や便所を併設した簡易な休憩施設を作ることで全員が合意した。ここを移住地の住民はもとより、国内の他地域や近隣諸国や日本からの来訪者が気軽に訪れる場所にして、自然体で環境教育が進むようにしよう、という発想だ。
 すでに、竹内委員が苗木八千本を自主的に育てており、育苗センターが完成すればすぐに搬入する考えだ。今回は第一期工事ながら数十万本の苗木を収容できる施設となっている。今後は苗木を徐々に増やしていき、移住地の各家庭に庭や空き地での植林も勧誘したい、という。
 育苗センターは、ブラジルとの国境にあるシダーデ・デル・エステ市から国際道路で首都アスンシオンに向う三十七キロ地点で左に折れ、直線道路で八百メートルほどのところにあり、便利だ。五つの森もすぐ近くにあり、森の散策を楽しむこともできる。移住地の中心街からわずかに離れているため、晴れた夜は静寂な環境の中で視界三百六十度の星空を満喫することができそうだ。
 二月にはサンパウロから沖真一さん(ブラジル東京農大会副会長、広島県)の来訪を求めて、専門的な助言を仰ぐことも予定している。
 古代ローマの哲学者の言葉に「難しいからやろうとしないのか、あるいは、やらないから難しいのか」という言辞があるが、樹木を伐採することによって開拓を進めてきた日系移住社会が、難しいと思われてきた植林と、植林を通した地域の環境保護に本格的に取り組もうと動き出している実例がここにある。
 イグアスー移住地の試みが爽やかな〃緑の風〃に乗ってパラグアイ国内のみならず、南米大陸の津々浦々に到達することを期待したい。