2007年1月31日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】ブラジリアのアルーダ知事公邸でネーヴェス・ミナス・ジェライス州知事など知事十二人は二十九日、経済活性化法案(PAC)への協力と引き換えに十五項目の条件、金額にして一五五億レアルの交付を政府に要求することを決めた。要望書は同日、ジェンロ憲政相に渡した。もし要求通りに交付されると、減税によって地方自治体が失う税収分の二六倍に当たる。他に自治体が抱える債務の決済期限延期や小切手税(CPMF)の三〇%と燃料税(Cide)の一部交付をも要求。PACを酷評したセーラサンパウロ州知事とリオデジャネイロ州のカブラウ知事は、同会合を欠席した。
交付金要望書は、PACの承認に向けた交換条件である。要求が通らなければ、議会工作は行わない。要望書の内容は盛りだくさんで全面容認が困難と、エスピリト・サント州のハルトゥン知事のように弱気な意見もある。ネーヴェス知事は、資金調達で地方自治体の協力がなければ、PACは絵に描いた餅に終わると評した。
要望書の主な内容は、次のとおり。一、CPMFの二〇%を州へ、一〇%を市へ。二、Cideの交付を現行の二九%から四六%へ引き上げ。三、カンジル法による税収減の補償増額。四、対連邦債務の三年据え置きと期限延長。五、国家治安基金の負担金免除。六、DRUに代わるDREの設置。七、衛生関連企業へのPIS免除。八、財政黒字と引き離した官民合資計画の設置。九、州が積み立てた外債保証金の返還。一〇、初等教育基金の払い出し法変更など。
蚊帳の外に置かれたセーラ知事は、内心穏やかではない。ハルトゥン知事に南東部地域の代弁者として会合参加を依頼し、セーラ知事の出席は初めから予定していなかったという。セーラ知事の欠席は多くの誤算を生んだ。ハルトゥン知事への一任はネーヴェス知事も承知していたが、昼食に飛び入り参加をした。ネーヴェス知事の統率力と政治力は、会合で光っていた。
一方、他のイベントに出席したセーラ知事は、リオへ電話を入れてカブラル知事も置き去りにされたことを確かめた。サンパウロ州とリオ州の知事は一杯食わされたようだ。CPMFの獲得ではネーヴェス知事が殊勲賞を手にする。セーラ知事のPAC酷評は墓穴を掘ったらしい。
ルーラ大統領は、要望書について知事らと個別会談を行う意向を表明した。すると、セーラ知事は継子扱いにされないか。州知事の会合は超党派会議であり、州財政はどこも火の車であるとネーヴェス知事はいう。州知事らは、経済活性化と党の間を上手に泳げといいたいようだ。
PACの焦点は資金調達らしい。マンテガ財務相は外国人投資家を招き、PAC説明会を行った。PPPs(官民合資計画)の民間資本は、外国資本の参入をも期待するという。投資勧誘のために税制改革は急務と自ら表明し、減税に代わり集積税(IVA)が登場するようだ。
外国人投資家は、経済成長が五%に達しないときの配当について財務相のPAC説明が不十分で、疑問払拭には至らないという。経済の成長過程や体質改善の説明が粗雑で、PACはごった煮の印象を否めないと投資家は評した。