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温かい人情にふれて=新潟県農業青年5人が帰国

2007年2月1日付け

 ブラジル農業を視察、研修するために新潟県から来伯していた農業青年五人の送別会が一月二十四日夜、サンパウロ市アクリマソン地区の新潟県人会(南雲良治会長)会館で開かれた。県人会会員ら約三十人が出席。特製のフェイジョアーダが振舞われ、日焼けした顔で充実した日々を振り返った実習生らは、集まった人たちと和やかに歓談した。
 団員は、農業総合研究所副所長の星豊一団長、副団長の中村徹さん(28)、吉沢芳司さん(26)、綱島健太郎さん(25)、駒村謙輔さん(25)、武者雄作さん(23)の六人。鉢花や水稲などを専門にする若手農業者で構成されていた。
 十四日に来伯した一行は、サンパウロ市近郊のアチバイア市とコチア市の日系農家でそれぞれファームステイを体験。また、サンフランシスコ河流域の、ペルナンブッコ州ペトロリーナ市の各日系農家を訪れ、マンゴーやドラゴンフルーツ、ぶどうなどの熱帯、温帯果樹の栽培事情を学んだ。
 日程の後半には、パラナ州ウライ市にある市村之(すすむ)さんの農場を訪問。一万ヘクタールの大豆畑が地平線まで広がる姿を見て、「ブラジル農業の大きさを実感した」と、各団員は口を揃えるように振り返った。
 新潟・ブラジル農業青年交流事業は一九八八年に始まり、これまで、新潟からブラジルへ百人以上を派遣。将来、新潟の農業を支えるリーダーを育成するために、一年おきに若手農業者がブラジルで実習をおこなっている。
 送別会では一行を代表して星団長があいさつ。新潟県中越大震災の際につくられたプレハブ住宅を今年中に完全になくすことを目標に、県民全体が復興に向けて努力していると紹介した上で、「移民という言葉が実感をもって感じられるブラジル滞在だった」と今回の実習を振り返った。
 新潟県人会の北パラナ支部の新年会に参加した他の団員も、「ブラジルの大地と同じくらい大きな心と温かい気持ちを日系人の人たちから感じた」と感想を述べ、人情に溢れた人と人との触れ合いが一番の思い出と笑顔を浮かべた。
 このほかにも、最年少の武者さんは「ブラジルの日系農家は良い作物を作ろうと熱心に研究している」、ファベーラが印象に残ったという吉沢さんは「農業を通して人の役に立てる人材になりたい」と実感した。副団長の中村さんは「ブラジルに来て農業に対する希望がもてた」と力強く語っていた。
 一行は二週間の日程を終え二十六日、帰国の途についた。