2007年2月3日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】中銀が先週発表した基本金利(SELIC)の小幅引き下げは、その二日前に政府が発表した経済活性化法案(PAC)の内容が原因だった。引き下げを決定した通貨政策委員会(COPOM)が一日に公表した議事録で明らかにしたもの。
それによると過去五回にわたる同委員会で連続的に〇・五ポイントの引き下げが行われてきたことで、今回も同水準に落ち着くという大半の予想と期待に反し、〇・二五ポイントの引き下げで年率一三%にとどまったことで不満が噴出した。
これに対し議事録ではPACに盛り込まれた政府の公共支出が増加することで新たなインフレが懸念されるとして、これを抑制するために小幅調整にとどめたと説明している。この背景には、政府の公共支出増加のほか、市場でのクレジット拡大、個人所得の増加により短期的に需要が拡大するのに対し、工業部門などの増産や設備投資の遅れにより供給が追いつかず、需給バランスが崩れて物価が上昇し、インフレに陥るとの見方をしている。
COPOMが政府指針に対して批判をするのは初めてのことで、政府の金融政策とは一線を画することを鮮明に打ち出した形となった。と同時に同じPACに盛り込まれた投資パイロットプラン(PPI)により二〇〇七年と〇八年の基礎的財政収支の黒字目標四・二五%(GDP対比)が〇・五ポイント下げて三・七五%になる可能性があることも懸念材料だと指摘している。
いっぽうで〇五年九月以来、連続的にSELICの引き下げを行い、過去五回は〇・五ポイントの大幅引き下げを実施したにもかかわらず経済成長の効果が表れておらず、単に金利問題が根本ではないとの考えを強調している。
インフレの指針となっている広範囲消費者物価指数(IPCA)が低下しているのは事実で、これは食料品価格の低下によるもので、COPOMでは一時的現象の域を出ないとの見方を強めており、〇七年下半期から〇八年にかけて上昇気運に転じるとみている。
今回のCOPOMの決定は従来とは異なり、意見が二分された。メンバーのうち五人が〇・二五、三人が〇・五ポイントの引き下げを支持したことで、内部でも不透明要素が横たわっていることが明らかになった。金融アナリストらも同様で、年内には〇・五ポイントの引き下げは期待できないとする声もある中、年末には年利一一・二五%あるいは一二%になると予想する向きもある。