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貧しい人の生活の知恵=妊娠すれば豊かになれる

2007年2月7日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一月二十九日】グローボ紙は二十三日、貧乏人の生活の知恵をルポした。その一例だがバイア州在住のジョゼリさん(27)は九人の子供を抱え、十人目を妊娠していた。下層階級では珍しくない一般的状況である。
 幸か不幸か知らないが、彼女は出産手当で貧民街の窪地にマイホームを建てた。マイホームは壁と屋根だけだが、キッチン・トイレつき2DKである。出産手当は彼女の一家を養う大切な収入である。彼女はバイア州の片田舎で農場の日雇い労働者をしていた。農村労働者の妊婦は妊娠八カ月目から産児が満五歳になるまでの間に出産手当を申請できる。農村労働者の出産手当は、子供一人につき最低賃金の四倍(一四〇〇レアル)である。
 上から七人の子供は、すでに出産手当が給付された。下の二人とお腹の胎児を入れた三人分の給付金は、新最低賃金が実効に入ると一人当たり一五二〇レアル、三人で四五六〇レアルとなる。
 ジョゼリさんがバイア州で日雇い労働者をしていた時の月給は一〇〇レアル。一五二〇レアルは一カ月一二六レアルの所得に相当する。日雇い労働者であったときより良い収入を得たジョゼリさんは、灼熱地獄で働くより、常時妊娠していると生活が豊かになることを知った。
 彼女は貯蓄信託(ポウパンサ)に手持ち資金を預け、三カ月毎に配当金を貰う。彼女は余剰資金でタイルやサッシなどの建材を購入し、住宅の内装を行った。いまや貧民街では、立志伝中の人物として羨望(せんぼう)の的となっている。
 彼女は出産手当の定期調整が、インフレ率よりも高率であることも発見した。そのためポウパンサに預ける預託金や配当金も、少しずつ増えた。ジョゼリさんにとって好運はまだある。今度は家屋解体現場を回って残材を集め、中古建材店を始めた。
 彼女にとって妊娠は財源である。毎年新しい生命を身ごもることは、是か非か。ルポは、みんながジョゼリさんのようにしたら、政府はどうなるか。本人は結果として、どうなるかを問うている。政治の道具となった社会政策の批判とも思われる。所得格差の是正という美名の背後に隠れた意図への警告とも取れる。