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バイオEG戦略協定を提案=米政府=主役はエタノール=反米諸国けん制で伯に協力=関税障壁問題は保留

2007年2月8日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙七日】米政府のバーンズ国務次官は六日、伯米間のバイオ・エネルギー戦略協定の締結を提案した。協定の目的は化石燃料への依存度を減らし、エタノールを中心とするグローバル・マーケットの開設である。ベネズエラやイランなど産油国が反米路線を踏襲することに懸念して、同構想を打ち出したとされる。来伯した政治問題担当の同次官は、化石燃料への依存度削減が戦略の第一歩だと述べた。ブラジル政府が対米輸出エタノールの関税障壁を不満としていることは熟知していると同次官が弁解した。しかし、同次官の担当分野ではないので、関税障壁は保留とした。
 化石燃料への依存度低下は、ベネズエラとイランをけん制するためブラジルに協力を求めたといえそうだ。バイオ・エネルギーの研究と開発で伯米同盟という、強力な枢軸関係の構築が本音らしい。
 再生可能なエネルギー開発は、有限な原油資源によって歪められた国際関係を是正する絶対条件であると米政府はみている。いまやエネルギーは戦略物資として国際間で否定的な力を持つ。再生可能なエネルギーを幅広く開発し、否定的力の封じ込めを米政府は考えているらしい。
 ブラジルには別の見方があって然るべきだと、同次官は述べた。米政府は、米国への原油主要供給国ベネズエラのチャベス大統領が採る政治手法を懸念するという。世界第三の産油国イランは一九七九年のイスラム革命以来、米国との関係が錯綜している。
 ブッシュ米大統領の十年計画、化石燃料の二〇%削減宣言でまず頼りにしているのがブラジルだという。エタノール対米輸出の関税障壁は、短期的に緩和は無理だが視野にはあると、セーラサンパウロ州知事との昼食会で同次官は述べた。サンパウロ州知事はブラジルが再々米国に煮え湯を呑まされたので、俄かに承服し難いと答えた。
 同次官は七日、エタノール業界関係者と会った。席上、供給の優先順位として国内需要に次いで対米供給も優先するよう懇請した。米国は選挙地盤の確保で多額の補助金を払って、トウモロコシのエタノールを生産している。ブラジルとのバイオ・エネルギー戦略協定は一年以内に締結したい意向だという。
 戦略協定には、次の三事項を盛り込む希望である。一、両国は、世界生産の七〇%を確保する。
二、製品とマーケットに関し両国以外の参加は、両国政府の合意を得る。
三、グローバル・マーケットの拡大は、特にエタノールの場合、グローバル・コモディティ方式を採る。
 バイオ・エネルギーについては、協定事項が多種多岐にわたる。同次官の説明では、戦略協定が両国の関係で瞬間凝固剤の役目を果たし、ブラジルの経済発展にもつながるという。
 社会経済開発銀行(BNDES)は、エタノールの現生産高一七〇億リットルを二五〇億リットルへ増産するため、二〇一〇年までに精製所を一〇〇カ所増設する必要があると発表した。現在操業中の精製所は、南部に二五〇カ所、北東に八八カ所ある。サトウキビの生産量は現在、四億二五〇〇万トン。二〇一〇年には六億八五〇〇万トンに達する見込み。