2007年2月8日付け
「パラグアイへ届け歌声――苦労した祖父母のために」。パラグアイの日系二世、星あゆみさん(26)が十一日に神戸で行われる「NHKのど自慢」に挑戦する。あゆみさんは、国際協力機構(JICA)大阪の日系研修員として、大阪大学で技術研修中。五日付けの産経新聞は、「神戸は祖父母らが南米へ旅立ったゆかりの地。十日の予選を勝ち抜けば、翌十一日の本選は南米へも生中継される。『パラグアイのおじいちゃん、亡くなったおばあちゃんに届けたい』と、マイクを持つ手に力がこもる」と大きく報じた。
同紙によれば、あゆみさんの祖父母、三郎さん(84、北海道出身)と一昨年亡くなった昌子さん(享年83)は一九五五年、あゆみさんの父、伸之さん(58)ら二人の息子とともにパラグアイに渡った。
星さん一家が入植したのは、フラム(現ラ・パス)移住地の一部であるフジ地区。大工をしていた三郎さんは、脱穀機を作る仕事をした後、農業を始め、大豆や小麦を作って生計を立てたという。
「祖父母の唯一の楽しみは日本の歌だった。舟木一夫の「高校三年生」、細川たかしの「浪花節だよ人生は」…。のど自慢は欠かさず視聴し、敬老会や入植祭のカラオケ大会で歌った。あゆみさんも五歳のときからマイクを握った」(産経新聞)。
あゆみさんは昨年四月から日本での研修を始め、「のど自慢に出場したい」という子供のころからの夢を叶えるべく、出場者募集に応募した。今は、予選突破に向け、毎日練習を積んでいる。
「おじいちゃんは高齢なので、もう日本の地を踏む機会はないでしょう。孫の私がのど自慢に出たら泣いて喜んでくれると思います。天国へ行ったおばあちゃんのためにも一生懸命、歌いたい」とあゆみさんは、産経新聞の取材に応えている。
曲は、祖母昌子さんが大好きだった坂本冬美の「暴れ太鼓」で挑む。十日に行われる予選を勝ち進んだ者のみが十一日の本選に出場する。NHKのど自慢は、ブラジル時間の十一日午前一時十五分から、生放送される。再放送は同日午後二時十分の予定。