2007年2月9日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】滞伯中のバーンズ米国務次官は七日、政治面で伯米関係の軌道修正を図り、外交面での緊密化に強い意欲を見せた。交渉が具体化し次第、ライス国務長官が来伯しルーラ・ブッシュ首脳会談のお膳立てをする。米政府は中南米に発足した新政権と外交関係を樹立するため、幹事役としてブラジルに白羽の矢を立てたようだ。米政府が特にブラジルへ期待するのは、中南米に起きたチャべス旋風のけん制で仲介の労を採ることとされる。アモリン外相は、ベネズエラの封じ込めもお先棒担ぎもしないと同次官の要請を断った。
イランがベネズエラへ接近したことで、中南米は風雲急を告ぐということらしい。波高きホルムズ海峡を懸念する世界の目が、ブラジルへ注がれている。ブラジルは、火中の栗を拾うことを避けているようだ。米政府は、伯米両国の実務者交流による地固めを急いでいるらしい。
バーンズ次官は単刀直入、本音の政治的課題に入り、両国の関係強化に及んだ。アモリン外相と同次官の会談は外交ルールの範囲に留まり、米政府の意図と戦略政策には触れなかった。米外交戦略は、ブラジルの本音を探りながら折りを見て切り出すというものらしい。
チャベス大統領の政治手法について、双方の見解が披れきされた。ブラジルは対話による外交方針を貫いている。ベネズエラも米国もブラジルと十分な対話がなく、交渉の段階に至っていない。米政府が望む要人の交流はやぶさかではないと外相がいう。
同次官は、通商面と金融面で両国が対話を欠いたことを遺憾とした。それは米国の中間選挙とかみ合ったためだと釈明した。これは言い訳で、米国がイラクの泥沼にはまったためだとブラジルはみている。
米国の「悪の枢軸」政策が米国を独走させた点を反省していると同次官はいう。ブラジルとの協調路線により、米国は中南米の発展を視野に入れる考えを表明した。ブラジルの麻薬組織の撲滅にも、米国が手を貸す意向を示した。
エタノール戦略協定は、伯米戦略の一環らしい。同次官は七日、フルラン産業開発相と会い、輸入燃料に頼る中米諸国のサトウキビ栽培にブラジルが技術協力を行うよう要請した。産業開発相は、中米の一国をパイロット・ケースに選び、周辺国に追随させるという。
パトリオッタ駐米伯大使は七日、エタノールの国際標準を設定するよう提言した。国際市場にコモディテイとして登場するには、大豆や鉄鉱石のように品質均一化と純度の統一を図る必要がある。現在は多数の精製所で生産されたエタノールを、ペトロブラスなどの独自規格にブレンドして標準統一を行っている。
バーンズ米次官の来伯に先立ち、アブデヌール元駐米大使が上院聴聞会で外務省のイデオロギー偏重を批判した。イタマラチーは、外交官の外交能力よりも思想を重視し、外務省内に反米思想を煽っているというのだ。労働者党(PT)は一笑に伏したが、大統領府は党内左派の下馬評阻止に苦慮している。