2007年2月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サルバドール市で開かれた労働者党(PT)創立二十七周年を祝うの晩さん会でルーラ大統領は八日、始まった党内主流派間の争いに終止符を打つべく関係者に自粛を求めた。権力闘争の旗頭とされるジェンロ憲政相とジルセウ前官房長官に、大統領は火に油を注ぐような言動を慎むよう要請。しかし、両人は自戒の様子なく批判声明を発表し、控え席に着いた。憲政相は、前官房長官の特赦要請は政府方針になく党が議題に取り上げることもないし、政府にとって一件落着であると語った。前官房長官が現主流派に告ぐと宣言し、PT多数派は黙って切腹をしないと警告した。
自分の特赦を妨げるなら、ルーラ政権は強敵を迎えることになるというジルセウ氏の布告が権力闘争を予告していた。PTの体質から権力闘争はつきもので、大統領の組閣工作にも大きく影響しそうだ。大統領側近は晩さん会のハプニングを案じていた。
PT創立記念の祝典会場にサルバドール市を選んだのは、長老とされるアントニオ・C・マガリャンエス氏からヴァグネル知事(PT)が同州を奪い取ったからだ。しかしその反面、PT水面下の熾烈な闘争が展開されている。
ルーラ大統領は、同祝典で党内の権力闘争を巡って爆弾が破裂するのを恐れていた。憲政相は、汚職に関与した党員の扱いについて党基盤を再構築する公式文書の作成を要求した。憲政相が党再構築のため新法相への就任を工作していることで、前官房長官が危機感を募らせていた。
大統領は、前官房長官の特赦と党再構築の話し合いには応じないと拒絶。大統領の頭には、経済活性化法案(PAC)の成功とインフラ整備資金五〇三九億レアルの調達しかない。現在の状況は昨年十一月に党の軌道修正と党内闘争の終焉を宣言したのに似ている。
PT主流派は九日、経済政策と中央銀行の処遇について協議した。大統領には報告済みだが、中銀の通貨政策と為替政策の経済成長優先政策への変更を要求する。端的には政策の左傾化だ。
晩さん会は、七月予定のPT党大会の準備会議でもあった。主流派は、党大会で党運営を巡る権力闘争にケリを付けたいと思っている。最も議論が集中するのは通貨政策と基本金利をめぐる考え方とされ、メイレーレス中銀総裁の首ではない。
ジルセウ前長官は、波風を立てないという約束で晩さん会へ招待された。裏金疑惑の責任を取らされて野垂れ死にするつもりはないと、同前長官は声明を発表。場合によっては、党内にジルセウ派を設立する考えもあるという。
PTは大別してルーラ大統領とジルセウ前長官を中心とする多数派(四二%)を始め、七派の寄せ合い所帯であった。頂上は一つとしても、登り口は全く異なる。これまで過半数を占める多数派はなかった。
サルバドール市に到着した前官房長官は「ブラジル国民の英雄、ゲリラ戦の闘士、政治犯の鏡、地下運動の総指揮官」として歓待された。前長官は見違えるほどやせていた。