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日本語教師本邦研修事業続けて!=関係機関へ願いをセンター中心に署名活動=「日本知らずして、どうして日語教師?」=谷理事長、研修の意義訴える

2007年2月10日付け

 【既報関連】JICAが行っている日本語教師本邦研修事業に関して、昨年末に総務省内の政策評価・独立行政法人評価委員会(丹羽宇一郎委員長)が「廃止を含めた抜本的な見直しを行うものとする」との案を提出したのに対し、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)を中心に、日本語教師らが継続願いの署名活動を始めた。谷理事長は、さきに来伯した蔵本文吉JICA中南米部長とも会談。日本語教育の現状や署名活動の趣旨を説明し、理解を求めた。
 「(研修事業は)移住者支援という名目であるが、実情はブラジル国民である二、三、四世を含めて、二万人以上の日本語学習者がいる。いずれも日本に親近感を抱き、将来は日本を支援するよき理解者となる。一時的な財政事情により、この制度を廃止することは、先人が積み上げてきた偉業を無為にすること(署名の趣旨抜粋)」。
 一日、二日両日に行われたモデル校代表者会議(JICA主催)で、全伯日本語モデル校代表者連合会が主体となって行う署名活動が承認され、ブラジリア・モデル校の三分一貴美子校長を代表に「事業継続願い」の書面が作成された。用紙は各モデル校に持ち帰えられ、署名への呼びかけが行われる。
 谷理事長は「モデル校はモデル校で、(JICA本邦研修)OB会はOB会で、教師養成担当の先生からは先生たちの名前で、それぞれが研修への思いを込めて、活動を行っていくことにしました」。署名には体験記や研修修了生の活躍の様子、人数など、様々な形で研修継続への要望が添えられ、各団体がおのおのの名前で提出することになる。
 また、県費留学生の受け入れが減っていく中で、JICA本邦研修修了生がリーダーとなっているという、宮崎県人会でも署名活動が行われている。
 蔵本中南米部長と会談した谷理事長は「『切る』というような話はありませんでした」。蔵本部長は、ブラジルの日本語教育事情を聞き、「日本語教師が千人もいるというし、自分も考えていきたい」と話したという。
 さらに、蔵本部長は「移住者支援が減っている中で日本語教育への支援が別の意義があるものだというのであれば、JICAのほかにも外務省など他の機関に(署名を)持っていってもらってかまわない」。
 谷理事長は「日本の地を踏んだこともない人が日本語の先生になるとはどうなのか。研修に行き、言葉だけでなく、文化や歴史、習慣を体験して、自信を持って教壇に立ってほしい」と、研修の意義を訴えた。
 センターは、今週中に、ブラジル国内のみならず、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアなど、本邦研修に参加している他国の日本語教師にも呼びかけを行うとしている。