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「私たちの状況まで悪くなる」=湖西市の死亡自動車事故=インターネットで非難の声=在日ブラジル人が帰伯容疑者に

2007年2月10日付け

 「あんたのせいで私たちの状況までどんどん悪くなっていくんだ」――。帰伯逃亡事件に関して、インターネット上で在日ブラジル人からの非難の声(ポ語)が続々と書き込まれている。とくにやり玉に挙げられているのが、フジモト・パトリシア容疑者とその父親ロベルト氏だ。初の国外犯処罰裁判(代理処罰)でも起訴事実を認めて謝罪する桧垣ミウトン・ノボル容疑者に比べ、日本の警察の調べと真っ向から対立する内容を主張し、日本のテレビにも出演して弁明に終始しただけに、そのインパクトは大きかったようだ。
 「ここ日本にいる俺たち(在日ブラジル人)がお前の代償を払わされているんだ」「お前らみたいなブラジル人のせいでブラジルのイメージが悪くなる」などと厳しいコメントが、インターナショナルプレスジャパン(IPC)のサイト上(IPCデジタルコム)で掲載された記事に対して次々に書き込まれている。
 日本に住む身内ともいえるブラジル人同胞からの、鉄槌ともいえる言葉の数々だ。一連の帰伯逃亡事件が、ブラジル国民全員のイメージに関わる問題だと主張していることもわかる。
 加えて、次のような書き込みも。「自分も子供を育てている身で、被害者の親の気持ちが理解できるだなんて、よくそんな嘘をつけたものだ。本当だったら事故直後に車を止めて助けにいっていたはずだ。ここで犯した罪をブラジルで償ってほしい」「正当な裁きが行われないはずが無い。刑務所がパトリシアの行き場所だ」「過去に罪を犯したブラジル人だけで私たちの状況が十分悪くなったのに、さらにパトリシアまで…」「無関係な自分の子供を事件に出して罪から逃げようとするなんて卑怯だ」――。
 現在もパトリシア容疑者やロベルト氏の発言に怒りを覚えたと思えるコメントがどんどん増えている。
 嘘つき、臆病者、卑怯者、バガボンド、恥知らず等に加え、新聞には出せないような侮蔑語や差別語まで羅列されている。
 さらに「以前ならどんな書類でも発行してくれたのに、あなたたちのせいで誠実で働き者のデカセギまで信用を無くすんだ」などといったメッセージもある。
 また同掲示板には、「ORKUT(オーカットまたは、オルカット)に被害者の理子ちゃんの写真を載せて罪から逃れられると思っているのか」などの発言もみられたため、ニッケイ新聞で調べてみた。
 ORKUTとは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(招待会員制交流サイト)と呼ばれるシステムで個人ページを開設することができ、使用者の二千五百万人(二〇〇六年度調べ)のうち六五%のユーザーがブラジル人とされるほど流行しているサービスだ。
 何者かによって開設されたと思われるパトリシア容疑者のページには、容疑者の顔写真のほかにも、自宅の写真、さらには交通事故で亡くなった山岡理子ちゃんの写真まで掲載されている。かなりこの件に詳しい人物がページ開設に関わっていることは間違いない。
 同サイトでは、パトリシア容疑者本人に向けて書いたと思われるコメントが並べられており、「逃げたパトリシア」に対しての日系ブラジル人の感情が露に表現されている。「私には育てなきゃいけない息子がいる。じゃあ、なんで日本に残って無実を証明しなかったのか」。さらに「被害者の写真を勝手に使うな」という書き込みまで見られた。
 インターネット上で見る限り、同胞から同情の声はそれほど多くない。容赦ない言葉の嵐を、容疑者たちはどう受け止めているのだろうか。