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原発建設計画を推進へ=30年までに6基新設=ウラン豊富、温暖化対策にも

2007年2月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】国家原子力エネルギー委員会はこの程、原子力発電所(原発)の増設および新規建設計画をとりまとめ、政府の承認を得るべく提出した。
 それによる第一段階は、現存のリオデジャネイロ州アングラ・ドス・レイス市の原発二基に加え、三号基の増設を着工する。これは一月三十一日に予定されていた原子力エネルギー政策審議会で具体的に検討されることになっていたが、会合が延期されていた。現存、一号基は年間六五七メガワット、二号基は一三五〇メガワットの計二〇〇七メガワットが供給されているが、三号基で新たに一三五〇メガワットが加わる。
 この原発第一センターの増設に加え、計画では国内に新規に第二、第三センターの建設が盛り込まれている。このため三年毎に一基新設し、二〇三〇年までに六基を完成させるとしている。第二センターは北東伯のサンフランシスコ川流域が有力視されており、第三センターは未定となっている。
 現在の電力供給は水力発電が九三%、火力発電が五%、原発が二%となっているが、二〇三〇年までに原発はアングラ・ドス・レイスの三号基に加えて、新規分で四〇〇〇メガワットが見積られ、合計五三五〇メガワットとなることで、五%のシェアーを確保できるとしている。
 第二センターとして有力紙されているサンフランシスコ川流域は、発電機の冷却に大量の水が必要で、川の水を利用できるところから白羽の矢がたった。アングラ・ドス・レイスでは海水を利用している。
 同政策審議会は関係七閣僚で形成されているが、この構想につき環境相が唯一、難色を示している。その理由は、放射能物質の残留を危惧してのことだが、関係者は管理の研究を推進するとしている。またブラジルは有数のウラン輸出国であり、その見返りに多数の国が原子力開発の技術援助を申し入れているため、世界のトップレベルの技術を取り入れることも可能だとしている。
 今週来伯したフランスの通商大臣は、フランスの公社がブラジル原発開発に七〇億レアルの投資をする用意があることを明らかにするなど具体的な申し出もでている。
 ここにきて原発が表面化したのは、先週来から世界が注目し出した地球温暖化がきっかけとなっている。原発はガス排出量が少なく、例えば天然ガスの百分の一となっている。またブラジルはウランが豊富で、向こう六十年間は原料供給に問題ない。さらに過去二十年間ウラン鉱脈が発掘されていないものの、埋蔵量はさらに八〇万トンを超えるとみられているのも、後押しの原因となっている。