2007年2月13日付け
【バストス発】バストス日系文化体育協会(ACENBA、真木勝英会長)は〇八年の日本移民百周年、バストス入植八十周年に向け、昨年大きな一軒家を購入し、新会館「日系移民社会文化センター」として活用していく計画を進めている。舞台を備えた大サロン、文協事務所、日本語学校に加え、郊外には四・五アルケールほどの総合運動場を管理しているACENBA。同協会では他に記念事業として、山中三郎記念バストス地域史料館の改修と入植八十年誌の編纂も進められており、その活発な活動ぶりは、他の文協のモデルともいえそうだ。
「他の日系社会への手本を示す意味も含め、当協会は町の日系社会を代表し、日系社会文化センター創設プロジェクトを立ち上げた」、ACENBAの同プロジェクト趣意書にはそう、新会館建設の意義が強調されている。
新会館は、二千四百平方メートル弱の敷地に、庭と五つの部屋、二つのサラ、二つのガレージに台所、プールがついた平屋の一軒家。一九三六年から七二年までブラ拓の工場があったという歴史深い土地に建築された、元製糸工場長の谷口あきら氏(元同文協会長)の邸宅を譲り受けた。
既存の会館から徒歩二分。宮坂国人公園前に位置し、同地の史料館が目と鼻の先という、好立地にある。
「ゆかりの古い場所が人手に渡るのも忍びなかった」と同文協老人クラブ明老会会長の安陪五郎さん。「今のサロンは使用予約がいっぱい。何かするのにもう一つあったらいいな、ということになりまして」と、理由を説明した。
購入が行われたのは昨年の六月で、費用は四十万レアル。婦人部が中心となって内装を塗り替えた。第三世代の会員が所属し、新会館建設へのリードをとった睦み会の世話役、畑山耕一さんは「八十周年と百周年をここ(新会館)でやりたいと思うんです。これから、センターとして充実させていきたい」。
「社会文化センター」と名づけ、プールを埋めたあとの約三百二十平方メートルに、舞台を備えたサロンを建設したいという。約三十万レアルを計上し、八十周年記念事業として次回の総会で決定される見込みだ。
新会館は現在、睦み会や婦人部、太鼓の練習や絵画教室に使用されており、今後、工芸や食事療法、映画、娯楽などといった高齢者交流広場、図書室、歴史コーナー、日本文化の紹介などに幅広い目的で使われる。
第一副会長の木村豊さんは「資金調達方法はすでに決定済み。今年中には借金を返します」。宇佐美宗一さんは「二世たちが中心でやっている。ケチくさい金の使い方はしないし、気持ちがいい」と笑顔を見せていた。
また、ACENBAが企画している、他の二つの記念事業も順調に進んでいる。八十年誌は、日、ポ両語ですでに「七三年までの編纂が終わった」。史料館改修についても、寄付の免税処置を行政に要請している最中で、免税許可が下りなかった場合の対処も考慮済みだという。「どっちにしても〇八年の六月十八日までには完成させます」と木村さんは意気込んでいる。
バストスに在住の日系人は約九百六十家族で、うち、文協の会員は四百五十家族。既存の大サロンは従来同様、カラオケ、踊り、ダンス会や結婚式などに使用される。