2007年2月14日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】農務省食糧配給局(Conab)は十二日、ブラジル経済のもう一方のけん引車、農産物に三年振りの幸運が戻ってきたと発表した。コモディテイ(必需品)市場は長い間国際価格が低迷していたが、二〇〇七年は強気へ転換した。穀物生産の八二%に当たるトウモロコシと大豆輸出は今年、三七〇億レアルの歳入を見込み、三月には七億ドルを受け取る。過去十二カ月間のアグリビジネスは五〇二億六〇〇〇万ドルと、過去最高の記録更新となった。久しぶりの明るいニュースで関係者が自信を取り戻した。特に過去二年間は、農産物の国際価格暴落と凶作、農業資材高騰の三重苦で悩まされた。
穀倉地帯の生産者は、地獄から解放された思いである。トウモロコシと大豆輸出の三七〇億レアルは、昨年比で五四%増の成績だ。このうち二一〇億レアルは、肥料と種子の支払に充当される見込み。手取りで一五〇億レアルは生産者が受け取れる。
〇六年は出荷の最盛期にコモディテイ価格の暴落が重なったため、泣き面に蜂であった。その上にドル安が来襲した。生産者は水を飲んで命をつなぎ、生産物一六〇億レアル分を売りひかえ、次のチャンス到来を待っていた。
生産高が記録を更新したので、さらにドル安に拍車が掛かるとみられる。本格的出荷期に入ると、為替率は限りなく二・〇〇ドルに近づくと予測される。物流費は全てレアル通貨で計算されるため、生産者にとっては不利である。
生産者にとって唯一の慰めは、バイオ・エネルギー過熱のお陰で市場が強気であること。この傾向は、地球温暖化と異常気象が予想以上に進行したことで、しばらく続くとみられる。世界中の生産者もエル・ニーニョ現象により、多地域で農産物の不作が起きている。これも市場強気の原因になる。
大豆の国内価格は現在、平均で一俵当たり二六・三レアル。パラナ州は三二レアル。価格が一レアル上がる毎に九億六九〇〇万レアルがブラジル経済に注入される。トウモロコシは平均価格が一三・五レアル。一レアル毎に八億三九〇〇万レアルが入る。
農産物輸出は、過去十二カ月間で五〇二億六〇〇〇万ドルに達し、過去最高の記録更新となった。一月の輸出は三七億七〇〇〇万ドルで、昨年同月比二九%増であった。穀物の他に牛肉や砂糖、エタノール、パルプとあるが、穀類の輸出はインパクトが大きい。
穀類はアグリビジネスのバロメーターである。生産者が過去二年間、受難の年に受けた傷跡は政府の援助では癒えるに至っていない。〇七年は幸運の年といえども、利益を債務返済へ充当することになる。生産者へ肥料や種子の資材を貸し付けた業者は、先行きを楽観している。
生産者の懐に予想外の収入が見込めるからだ。農機具メーカーも過去二年、閑古鳥が鳴いた。最近はトラクターやコンバインが大型化した。風が吹けば桶屋が儲かり、地球温暖化が進行すれば農業資材業界は笑いが止まらないらしい。