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未成年者の刑罰見直しを=3年で更生はムリ=リオの事件で州政府動く=賛否に分かれる世論

2007年2月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】青少年および未成年者の凶悪犯罪が急増していることを受けて関係者の間で刑法の見直しを求める声があがっている。とくに未成年者の現行刑罰が三年となっている(社会復帰への更生期間)ことにつき短すぎるとして、これが犯罪の再発につながっていると指摘している。そもそもきっかけとなったのは先週、リオデジャネイロ市で発生した六歳の男児が強盗犯により車でひきずり回されて死亡した事件で、州政府では関係者が合同協議すること提案している。
 リオデジャネイロ州とサンパウロ州の政府首脳陣は、未成年者および青少年の残虐な犯罪が急増していることから、これらに対しより重刑を適用するよう要求している。カブラル・リオ州知事は他州の関係者にも呼びかけて、これを協議する会合を開くことを提案している。
 このきっかけとなったのは、七日夜にリオ市内で発生した六歳の男児殺害事件で、逮捕された二人組は主犯が十八歳、共犯は十六歳の少年だった。二人組は市内街路の交叉点で信号待ちで停車していた女性(41)の車を奪った。車には二人の子供が同乗していた。三人は下車を命じられたが、六歳の男の子は後部座席から降りたものの、シートベルトがほどけなかった。犯人らはそのまま発進、子供は七キロに及ぶ距離を引きずられて死亡した(本紙十日付既報)。
 この件で市民は激高、犯人の情報提供に四〇〇〇本以上の通報が寄せられた。これが同州知事の動きとなったもので、リオ州に限らず全国的に刑法の見直しが必要だとの考えを強調している。また、アメリカのように各州に刑法の適用を任せるべきだと主張している。現行法律では十八歳以下の未成年は犯罪の性質にかかわりなく、三年間の更正指導が最高刑となっている。
 これに対しセーラサンパウロ州知事は国会に向けて青少年の量刑を十年とするよう一月に提案している。審議はまだ始まっていないものの、同知事は冷酷な犯罪をしでかした青少年らがわずか三年で更正するとは思えず、社会復帰したら再度犯罪に走る可能性が高いと言明している。
 同知事の提案の動機となったのは二〇〇三年にキャンプ中の学生アベックを殺害して逮捕された通称シャッピーニャの処遇にある。シャッピーニャは当時十六歳の女学生を数度にわたり強姦した後に殺害、同行していた十九歳の男子学生も殺害し、逮捕された。シャッピーニャは当時十六歳で、少年更正施設(フェベン)に送られた。
 三年間の拘留期限が昨年十一月で切れ、釈放の権利が生じた。しかし心理学医によると、改悛と更正の意志がまったく見られなかったことから、釈放反対ののろしが上った。結局は精神鑑定の名目で現在も拘留されている。同知事はかかる凶悪犯罪人は十年の刑期が当然だとの見方をしている。
 リオ市のマイア市長も同感だとした上で、昨年来から十五歳から二十四歳までの若者層の犯罪が急増していることから、未成年への罰刑を一般犯罪と同様とすることを主張している。これに対しルーラ大統領は、リオでの事件は残酷だとしながらも、量刑で全てが解決するものではなく、社会体制に問題があると指摘している。ガルシエ最高裁長官も同様の考えで、今後この問題は賛否両論で世論を二分するものとみられている。