ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

2007年2月16日付け

 沖縄県人会には移民百周年事業実行委員会がある。笠戸丸移民が多かった。日本移民百周年は、即県人百周年である。委員会が組織されたのは、二つの百周年を記念するため。底流に「沖縄県人および子孫」と「母県」による、アイデンティティの強い意識がある▼委員会のリーダーたちは、すでに世代交代している。一世移民から二世への継承が際立って明瞭におこなわれているところに特徴がある▼委員会で合意された主要四事業は、新会館建設(現沖縄文化センターの増改築)、記念碑建立、九十周年誌ポ語版出版、沖縄県人の百年写真集出版―である。そのほか、祭り的イベントも数多く企画された▼在伯県人たちは、過去、二派に割れて主導権争いをした時代がある。その結果として、組織の本部ともいうべき県人会館が、現在、二つある。他県人会には見ない例だ。過去の経緯は全面肯定できないものの、これはこれで、いい意味で、県人のエネルギーを示すものに違いない▼この県人会は、団体そのものの「長寿」を思わせる。母県とのつながりが、過去から現在まで非常に強固だ、というのが、その理由である。二世が三世に代替わりしても、母県との絆は揺らがないだろう▼これまで市町村単位で招かれてきた三世子女たちは、祖父母の故郷との「地縁・血縁」を痛切に感じ取っている。恩返しに、肉親のように扱ってくれた受け入れ側の人たちを、将来ブラジルに招く、などと言う。これは新しいエネルギーである。(神)