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コラム 樹海

2007年2月17日付け

 今年もまたカルナバルがやってきた。リオやサルバド―ルにはサンバとアシェが流れ狂熱の踊りが溢れる。今や「祭り」となったカルナバルも、30年ほど前にサンボドルモが出来てから観光色が強くなり、従来型から大きく変ってしまった。80年代の初めリオのサンボドロモを見物に出かけたが、席を占めているのは米の勇退した老夫妻や欧州系の人々が圧倒的なのにびっくりした▼観光行政としては大成功だったけれども、肝心な祭り好き庶民の姿がなかったのはいささかならず寂しくも哀しい。だが―あのデスフィ―レの凄いばかりの熱気には圧倒されたの印象を今も覚えている。リオの庶民らは、1年間働いた給料を貯めカルナバルで使い果たすそうだが、今も昔もこの習慣は守られ同じなのだろう▼サルバドールは昔ながらに街の大通りを練り歩く。この伝統的なスタイルが人気の秘密らしく、外国や州外からの見物客が増えている。と、こちらは庶民派なのだが、これが本来であってあの華やかな行進も大地から湧き出るように熱く強い。フオルタレ―ザやレシ―フエも盛んだが同じカルナバルでも地域によって音楽や踊り方も異なるようだし、この特異性が何とも面白い▼サンパウロも近ごろはエネルギ―が満ち満ちている。サンボドロモは観衆でいっぱいになり、踊り子らも元気で張り切っている。リオにはちょっと劣るけれども山車も見事になりプッシャド―ルもいい。それに―日本からの若い女性が遥遥と遠い国にやってきてデスフィ―レに参加し堂堂と踊る昨今は老移民にとっては将に「夢」である。  (遯)