2007年2月22日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】ペトロブラス石油公団は十九日、サントス沖用の大型プラットフォームP―55とP―57二基に対する国内業者の見積もりが予定を六〇%も上回ったため、入札中止を決定した。外国で同入札を行うという。ルーラ大統領が第二次政権の正念場とするPAC(経済活性化法案)のはしりとして、三〇億ドルを公的資金から計上したプロジェクトであった。公団は国内業者の入札予定価格が大統領の公約を反故にしかねないと抗議した。大統領は野党時代、ペトロブラスが国内産業を庇護しないと非難していたが、今回は裏目に出たようだ。
ルーラ大統領は大統領選に臨んだ二〇〇二年、ペトロブラスのプラットフォーム完全国産化を公約し、国内造船業の活性化と一〇〇〇万人の雇用創出を打ち上げた。ペトロブラスは当時、プラットフォームの開発で外国業者を含めた国際入札を行い、技術的に劣る国内業者が冷や飯を食っていた。
労働者党(PT)政権による公約遂行の国産化計画で大統領は、プラットフォームP―52の建造をヴェロウメ造船所へ命じた。しかし、建造したのは内部に過ぎず、外部はシンガポールの造船所で完成した。まだ国内業者にはプラットフォームの完成品を製造する技術がなかった。公団は以後、四基のプラットフォーム建造で内部を国内、外部を国外へ発注して完成させた。
今回の大型プラットフォームP―55とP―57二基の入札中止で、完成品の技術習得を怠った国内業者は、プラットフォーム建造の道を絶たれる可能性がある。公団の見積もりを大幅に上回ったことに関係者は驚いている。国内業者は、公団の支払いが期限から大幅に遅れるので、金融機関への金利支払いのため利益を上乗せしたという。
経済活性化と国産化計画は、プラットフォーム建造でほころび始めたようだ。造船業界は大統領選の〇二年、ルーラ大統領誕生のために少なからぬ資金協力をした。ルーラ大統領が当選すれば、プラットフォーム国産化はお墨付きと思っていた。
造船所と下請け企業の間にも問題がある。プラットフォームP―52を建造したとき、公団は資材の値上がり分として一億二〇〇〇万レアルをケッペル造船所へ支払った。しかし、同造船所は下請けに支払わず着服した。同造船所は問題が表面化してから、六〇〇〇万レアルを下請けに支払った。
ケッペル造船所の系列には、約二〇〇社の下請け企業がある。親会社の着服が常とう化していることから、下請け企業は新規契約に資材値上がり分の上乗せを要求した。そうしないと下請けは働くほど損をするという。下請け企業は公団の入札中止を知らず、今まで通り仕事が入ると思っている。
二基のプラットフォーム建造は、PACの一環である。プラットフォームの国産化と原油の完全自給化は、PT政権の経済活性化計画の腹案である。ペトロブラスにとっては国産化など一蹴し、一切を外国企業に任せたほうが安くて頭も痛くないらしい。ケッペル造船所はシンガポールに大型ドックを所有しており、完全な国産化とは言い難い。