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地下鉄公団総裁が辞任=陥没事故で引責=運輸局長官、臨時総裁に=場の安全対策不十分

2007年2月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】セーラサンパウロ州知事は二十一日、地下鉄四号線ピニェイロス駅工事現場の陥没事故などの引責を理由とした、ルイス・C・ダヴィジ地下鉄公団総裁の辞任届を受理した。同事故により工事現場全般の安全性を調査した結果、公団の対策は不十分であるとの結論に至った。同四号線の建設工事には数々の変則的工法や技術的欠陥が報告され、責任追及が同総裁を窮地へ追い込んでいた。後任は正式に決定するまで、ポルテーラ運輸局長官が臨時総裁として就任する。地下鉄四号線の工事は七人の犠牲者を出したうえ、工事全体が変則的工法であると批判されていた。
 地下鉄四号線は、数々の路線と交差する最重要幹線とされる。同前総裁に辞任圧力が掛かったのは、フラジッケ・コウチーニョ駅の構造骨材の溶接不備が発見されてからだ。現場検証の鑑定書が前総裁の責任追及に拍車をかけた。
 運輸局長官は十六日、前総裁に事情を説明した。世間の目が州政府に向き、無理な公共工事を強いているような印象を与えた時点での人事異動は避けたいと。陥没事故のほとぼりが冷めたころ辞任し、長官が花道を飾ることを約していた。
 前総裁にとって、針のむしろに座らせられたような毎日が耐え難かったようだ。一方、就任間もないセーラ知事に責任を取らせる動きもあった。ほこりが立たないように側近らは極力配慮したが、前総裁の腹は決まっていたらしい。
 地下鉄四号線の工事を請け負ったコンソーシアムは、オデブレヒト系列とカマルゴ・コレイア、ケイロス・ガルボン、アンドラーデ・グッチエレスなど国内大手のゼネコンで構成されている。同コンソーシアムは、工事契約条項に相応しくない資材を変則的に使用したことを認めた。
 坑道内壁のコンクリート・プレートに使用した防水剤のPVCは厚さ二ミリで、契約書の三ミリに違反した。他に坑道を爆破する個所は、契約書では三万平方メートルに厚さ三ミリのスイス製ポリプロピレノのマントをプレートに挟むとなっていた。実際は四〇〇〇平方メートルに二ミリのマントを挟み、一五〇万レアルを節約した。
 数々の変則工法をよしとしない技術者らが、辞表を提出し同工事から去っていった。使用資材の変更は、公団の変更許可を取る必要がある。一方的な契約変更は許されない。しかし、請負企業はコスト削減を優先し、それをしなかった。地層の水分はむらで、場所によって三ミリが是非必要な個所があった。
 マントはメートル当たり、三ミリが一五〇レアル。二ミリが一〇〇レアル。マントを使わず防水用化学薬品の注入法採用が検討されている。これは工法変更になる。資材変更も工法変更についても公団は設計会社の変更許可を得る。それが、出るまで時間がかかる。だからと工事を止めるわけにいかない。
 工事現場の検証では、数々の漏水が眼についた。漏水が激しい個所は集中過重の法則が作用し、新たな陥没事故の可能性がある。請負企業は、マントの厚さが二ミリでも三ミリでも防水効果は変わらないという。それをマントのメーカーが証明するらしい。