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MST侵入で見解分かれる=CUT、内部分裂に発展か=支部は関与否定、中央は支援

2007年2月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】農地占拠運動(MST)のグループがカーニバル期間中に関係者の意表をついて農場を不法占拠したことに関し、中央労組(CUT)で見解が分かれ、内部分裂に発展する様相を見せている。今回の不法占拠は十八日、サンパウロ州九市の農場十三カ所を突如占拠(うち一カ所は撤退済み)したもので、メンバー一〇五〇世帯二八〇〇人をCUTが指揮を執って動員したと報じられた(本紙二十日付既報)。
 しかし、該当地のサンパウロ州プレジデンテ・プルデンテ市のCUT支部は二十一日、不法占拠はMSTの単独行為であり、CUT支部は一切関与していなかったとし、司法問題に発展してもCUT側は一切責任を負わず、また、MSTを弁護する意志は毛頭ないとの立場を明らかにした。
 これに対しCUT中央執行部は二十一日、特別声明文を発表し、あくまでもMSTを支援していくとの決意を示し、双方で意見のくい違いを見せた。中央執行部によると、CUTに属する農務従事労組を通じて不法占拠の支持を出したとのことで、MSTは非登録団体だが、メンバーは労働者であり、労組のCUTが支援するのは当然だとの考えを強調している。その上でMSTの実力行使は政府(農地改革院=INCRA)の遅々として進まない農地解放政策が原因だと指摘している。
 サンパウロ州地裁は二十二日、MSTリーダーを土地不法侵入罪で起訴することを決定した。これに対しリーダーは、これまで主張してきた農地の地権の不当性とMSTの行為の正当性を再度裁判で主張するとして、受けて立つ構えを見せている。
 いっぽう、MSTの中で過激派といわれるリベラル派一九〇家族は二十日未明、三角ミナスのプラタ市の農場を不法占拠し、テントを張って住みついた。同グループは昨年十一月、同市の別の農場を不法占拠したが、同市地裁が立ち退きを命令。その期限が二十日だった。そのため近くの農場に「引っ越した」もの。同グループによると三角ミナスには一三七三カ所に七五〇家族がキャンプ生活をしているという。