2007年2月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】大学生の三七%が飲酒あるいは酒気帯び運転の経験があることが、調査で明らかになった。また八〇%が運転者(友達)が酒を飲んでいるのを知りながら車に同乗している。関係者は若い世代の交通事故が急増していることから「運転時は飲まない、飲ませない」運動を展開している。
外科および整形外科医学部会が九日と十日の二日間、サンパウロ州とリオデジャネイロ州の大学生一〇三四人を対象に調査したもので、これにより大学生の間では、飲酒運転による事故の認識がかなり低いことを実証された。また調査では三八%が飲酒運転で接触などの事故を引き起こしていることも報告された。調査には男子学生六一%、女子三九%が回答を寄せた。十八歳から二十四歳までが八二%、二十五歳から三十歳までが一八%だった。
十七日からのカーニバルを前に飲酒で羽目をはずす機会が多いことから、この時期に調査し注意を喚起するのが狙いだった。しかしこの中で三六%が、ハンドルを握る時は飲酒を控えると回答している。いっぽうでシートベルト着用は運転者が九六%、助手席同乗者が九三%とルールを遵守しているものの、後部座席での着用はわずか一一%にすぎなかった。
同部会によると、酒気を帯びることで反射神経が鈍り、さらに気が大きくなることで信号無視やスピード違反などの大胆な違反を繰り返した挙げ句に大事故を引き起こすのが常で、罪のない別の走行車や歩行者を巻き込むことになる。これは犯罪の一種で、社会問題に発展している。
飲酒運転は法律で体内の血液一リットル中〇・六グラムまでは許容範囲となっている。これを過ぎる(三杯のショッピ)と事故の可能性は倍増するという。五杯のショッピ(生ビールの小型ジョッキ)で三倍となり、十杯飲むと危険率は二〇倍になると警告している。
そもそも若者の飲酒運転防止運動のきっかけとなったのは昨年九月、リオデジャネイロ州ラゴア・ロドリゴ・デ・フレータ市で十六歳から二十二歳の学生五人が交通事故で全員即死した事故だった。学生らはナイトクラブで飲酒した後、一台の車に同乗、二キロも走行しないうちにハンドル操作を誤り街路樹に衝突した。車は見る影もなく大破した。検死によると運転していた学生からは飲酒許容範囲の二倍のアルコール度が検出された。
外国では飲酒運転取締りに風船検査が行われているが、ブラジルでは個人の権利が尊重されてこの種の検査は強制できないため摘発が困難となっている。同部会ではカーニバルの期間中、リオ市内のバールを巡回し、飲酒している若者グループに事故の危険性を説くことにしている。保健省でも今回の調査を重視、四月から若者を対象としたキャンペーンをラジオやテレビで展開することを決めた。またアルコール飲料の宣伝広告を規制することを法文化する検討を行っている。