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中国製品に「待った」!=ダンピング提訴の動き広まる

2007年2月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】中国からの輸入製品についてブラジル国内の業界から又もやダンピング提訴の動きが広まり、その動向が注目されている。過去にドル安レアル高の為替相場に後押しされて、繊維製品の輸入が急増、国内繊維業界がダンピング提訴を立ち上げた経緯はつとに有名だが、今回はその第二弾となる。
 問題が表面化したのは、ヘアーブラシ、クリスマスの装飾品、サングラス、鍵や錠前、自転車のタイヤなどの、いわゆる小物製品。業界によるとコストはおろか、原材料費よりも安い価格で中国製品が売られているとのことで、当局に対して提訴を前提とした調査を申請する方針を固めた。
 業界が市場調査および輸入品の不当な販売価格を裏付ける証明を提出するのを受けて、開発省管轄の製品保護局が調査に乗り出す。同局では十八カ月以内にシロかクロかを断定する。クロの場合は国際裁判所にアンチ・ダンピング法違反として提訴する。相手国はこれに対しコストと製品価格の仕組みの説明が義務づけられる。
 これらの製品は多くがカメロー(露天商)で容易に購入できる安価な商品で、利幅の薄い中小企業が大半を占めている、このため中国製品に対抗すべく再投資するだけの体力が身についておらず、廃業や転業を余儀なくされている。果てはこれまでの販売ルートを利用し、当の中国製品を扱う販売専業に転じたメーカーもある。
 ヘアーブラシの場合、二〇〇〇年までは三〇のメーカーがあり国産品の市場占有率は一〇〇パーセントだったが、現在はわずか二社で占有率は二〇%に落ち込んだ。この間の解雇は一五〇〇人に上ったという。業界での稼働率は三分の一に減少。業界によると、関税の追徴金は業界の生死に関わる問題だとしている。
 錠前の国内二大メーカーのPADOとPADAIZの意見も同様で、従来の関税率六三%の復帰を強く求めている。両社によると中国製品は平均で四〇%安く、原材料費(金属)よりも低価格で太刀打ちできないと嘆いている。PADOでは二〇%の減産に追い込まれ、九六〇人の従業員のうち五〇〇人は解雇の対象になっているという。PADAIZも同様で、政府が対応しなければ転業なり、販売専業に転じるしか方法はないと語っている。
 両社首脳陣は、市場閉鎖による国産保護のセーフティガードとは異なり、同一ラインに並んだスタートで自由競争を主張しているに過ぎないとの考えを強調している。