2007年2月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】アメリカで詐欺横領事件を犯した男がブラジルに逃げ帰り、アメリカ当局がインターポールに逃亡犯として指名手配したことが明らかになった。
日本に出稼ぎに行ったブラジル人が日本で犯行後に逃げ帰り、日本側から国外犯処罰(代理処罰)の起訴要請を受けたことで、日本およびブラジルで話題となったが(本紙七面既報)、これはアメリカ版といったところ。この件でもブラジルに逃げ帰った男は身柄をアメリカに引き渡されることがなく、ブラジルの刑法が適用される。アメリカの捜査当局は目下捜査中として、ブラジルの当局に起訴を要請するかは未定だという。
男(39)は履歴を偽って二〇〇一年から〇五年までの間、ジョージタウン州立大学に勤務中に三一万一一五〇ドルを横領した。同大学は一七八九年創立でビル・クリントン元大統領やアルブライト元CIA長官をはじめ数多くの要人を輩出している名門校。男は大学にもぐり込み、ブラジル研究のコーディネイターをしていた。それを利用してサンパウロ大学(USP)の著名教授を招いて講演会を開くとデッチ上げ、その費用を大学側に請求し着服したもの。請求書は大学の管理部長のサインをねつ造した偽物だった。
事件が発覚したのは〇五年一月で、大学の公金が男の口座に振り込まれるのに不審を抱いた銀行が当局に通報した。大学の小切手振出しは一一八枚に上った。事件発覚直後の三月、男は家を売って返済することを約束、大学側も了承した。しかし、その翌日、男はブラジルに逃げ戻った。男は留守電に「今頃はブラジルに向かう雲の上にいる」と嘲笑の伝言を残している。 アメリカのシークレット・サービスにより罪状は明らかになっており、男はアメリカであれば、詐欺横領、公文書偽造などの罪で三十年未満の刑が適用される。男はリオデジャネイロ市に住んでいると言われているが、両国の司法の手がどこまで伸びるか注目されている。