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大統領、組閣を再び延期=3月11日に発表か=PMDBの動向見極めた上で=やる気殺がれた大統領府

2007年2月24日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】ルーラ大統領は二十二日、第二次政権の組閣を再延期し、ブラジル民主運動党(PMDB)の党大会が行われる三月十一日に組閣発表の意向を明らかにした。大統領はブラジル社会党(PSB)やブラジル共産党(PCdoB)の幹部と会い、PMDB党大会の動向次第で同党が求める役職が判明し、内閣改造が決まると述べた。PMDBは新党首の選出を巡って二派に分かれ、骨肉の争いとなりそうだ。大統領の組閣遅れが労働者党(PT)と進歩党(PP)、PSBとPMDBといった連立与党の間で火花を散らす結果となった。
 ルーラ大統領の組閣延期はこれで四回目だ。PTとPMDBを二本柱とする第二次政権で大統領は、PMDB党大会を見て政権のお膳立てを図りたいという。PMDBには、現党首のテメル派とジョビン派の流れが台頭している。
 連立与党は、三十四の省庁争奪戦で固唾を飲んでいる。省庁が動かせる予算額に連立与党は食指を動かす。とはいえ、PTとPMDBが最も美味しいところを先取りするので、他党はお裾分けとなることは、やむを得ない。
 痛し痒しはマルタ前サンパウロ市長の入閣だ。前市長は選挙の票集めに重宝だが、党内で器量不足を理由に反対する者が多い。前市長は、教育相か都市計画相を欲しがっている。
 都市計画相はPPのオハコだが前市長に譲り、農務省の割り当てが噂されている。女心は秋の空。無理してマルタ前市長を入閣させても、任期を満了せずに二〇〇八年にサンパウロ市長選に再挑戦する可能性がある。マルタ派の面々がサンパウロ市政の味を忘れられないからだ。
 組閣の再延期は大統領府のやる気を殺いだ。バストス法相の辞任が確実視されている法務省は、連邦警察の長官と高官の人事が頓挫している。書類は決裁されず、未決裁の山だ。連警作戦も組閣待ちで、気合が入っていない。
 ロウセフ官房長官は、組閣発表まで休暇を取った。そのため鳴り物入りのPAC(経済活性化法案)は、議会へ上程して一カ月たつのに進展なく休止している。フルラン産業開発相は後任到着まで休暇。産業開発省は一斉冬眠。
 大統領は経済発展を期するに、ブラジルには構造的欠陥が存在するという。その欠陥を是正するのが、PACだと述べた。これまで歴代政権が経済発展計画を発表するが、計画倒れで終わった。構造的欠陥を是正しないからだという。
 キナリア下院議長は、PACに関する法案を上程するよう野党にも請求した。しかし、ブラジル民主社会党(PSDB)は拒絶した。自由前線党(PFL)は、連邦貯蓄銀行の上下水道工事と簡易住宅ローンへの融資を促す法案だけ上程した。
 PSDBは、国家へは協力するが、PT政権への協力は拒否した。PSDBの協力を得たいなら前もって相談し、了解を得てからモノを頼むのが順序だという。PACが始動するため、多数の法案が上程を待っている。PAC執行には、税制恩典が与えられる暫定令から始めねばならない。