2007年2月24日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】偽の誘拐事件をデッチ上げて家族から身代金を巻き上げる誘拐詐欺事件が急増し、今年に入り三〇〇〇件以上の通報があった。
サンパウロ州軍警のオペレーションセンターによると、今年一月一日から二月十四日までの四十五日間で、誘拐の通報及び被害届はサンパウロ市のみで三一五〇件に上がった。また市警誘拐防止対策課でも同様、一日に二件から三件の通報があるとのことで、実数はかなりのものとなり、「流行」の兆しを見せている。
関係当局によると、誘拐詐欺はそもそもリオデジャネイロ市の刑務所での服役者がヒマ潰し(?)に軽い気持ちで携帯電話を使って仕組んだものが、思いがけず功を奏したことから、「流行」となったとされている。
しかしこの手口は昨年末、ニュースで広く伝えられ、当局も注意を促しているにもかかわらず、いざ当事者になると気が動転して判断がつかなくなり、犯人らの要求に応じることになる。いっぽうで犯罪者側は失敗してもともとという気持ちがあり、これらが犯罪増加の原因になっているとみている。
また手口も巧妙化しており、ほとんどが高齢者を狙い、早朝に電話で起こす。頭がもうろうとして判断がつかないからだ。そこで息子(あるいは娘)に成りすました人物が電話口で、悲鳴や泣き声を出して拷問されているふりをする。その後で犯人が要求を伝える。被害者の中には「確かに息子の声だった」と言い張る人もいた。さらに犯人は携帯電話の電源を切るよう命じる。外部との連絡、とくに誘拐されたはずの当人からの連絡を断つためだ。
当局では注意点として下記を挙げている。電話はほとんどがコレクトコールで、不審なものはすぐに切ること。本当の誘拐事件は小細工をせず、数回にわたり手短い用件を伝える。いずれにしても軍警センター一九〇番に通報すること。常に家族や近い親族の居所を確認し、連絡が取れるようにすること。また携帯電話はできるだけつけ放しにしておくこと。
詐欺と知りながら身代金を払った男性もいる。男性は息子を誘拐したとの電話を受けた。だが男性には子供がいなかった。それでも要求された五〇〇〇レアルを支払った。男性は、もし本物の誘拐で、知人や友人の息子だったら取返しのつかないことになるとし、一人でも犠牲者が減れば良いと判断したと述懐している。