2007年2月24日付け
サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)は二十二日、定例理事会を同協会事務局でおこない、サンパウロ市リベルダーデ区に予定する福祉センターの設計会社を、「SHIEH」社と公表した。同社は、建設委員会の評価を得て今月一日、三つの競合会社から落札を決めていた。援協関係者は「同社は一番利用者の立場にたった設計案を提示してくれた」と満足した様子だ。
福祉センター建設案は、高齢化がすすむ日系社会の福利厚生に応えることを目的に計画。援協は昨年、サンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街の土地を購入、二年後の援協創立五十周年に向けて案を具体化している。
同設計会社はこれまで、サンパウロ市リベルダーデ区の客家センターや、インテルラゴス・ショッピングセンターなどの設計を担当。三十年以上の実績がある。
同社の設計案によれば、同センターは屋上を含めて地上五階、地下三階建て。建設地の傾斜を利用し、地下を無駄に掘り下げない設計案になっている。
センターの西側には西日によるセンター内の温度上昇を防ぐため、網状の幕を取り付ける。その地上部分には池をつくり、気化熱を利用して西側側面の温度上昇を抑える工夫がある。
一階と二階部分には総合診療所、病理検査室がはいる。診療所入り口から診察室まで、VIP用と一般利用者を分ける造りになっている。
三階部分には、福祉部やデイケア・センター、図書室、展示室、中高年軽運動室、ふれあい室などがはいる。四階には事務局や役員室、応接室を設置、援協運営の中心部になる予定だ。
地下三階はすべて駐車場になる。百十五台の駐車が可能だ。この駐車場は一般向けの駐車スペースとして開放し、近隣の大学に車で通う学生などから利用料確保を狙う。その利益はセンターの運営費に充てる。
この地下駐車場の下には、各階に通じる空気冷却パイプをつける。低温度で安定した地下の空気を利用して、センター内の温度調整をおこなうもの。通常の空調設備より低コスト化が狙えるという。
屋上には「R・神内」と命名した多目的室と芝生を設置する。多目的室はイベント・集会会場になる。芝生は終日、散歩や運動ができる憩いの場になる。ここには併せて給湯用の太陽電池パネルを置く。
援協関係者は同社の設計案について「設計費用よりアイディアを優先して落札を決めた」と説明。「建築費やセンターの維持の費用を低く抑える工夫があり、他の会社の案より利用者の立場にたっている」と強調する。
森口イナシオ建設委員会委員長によれば、今月二十七日に委員をあつめて同社と二回目の打ち合わせをおこない、設計案の詳細を決める。予定では今年六月ごろ、正式な設計図案が完成する。その後、建設施工会社の募集をはじめる。